価値のある知識の使い方とは?
こんにちは。「3分で実践!キャリアアップ究極のビジネスマナー」のシンマです。人のさりげない一言から学ぶことって多いですよね。ダイヤモンドがダイヤモンドでしか磨けないように、人も人との関わりの中で磨かれていきます。私の出会った5人の方の、さりげない一言とそこからの学びを紹介してゆきましょう。
■今回の一言
「先生、お茶が好きなんだってね。息子から聞いたよ」
鈴本先生の教え子である太田君のお母さん
中学校の体育教師である鈴本先生は大のお茶好き。家庭訪問で出されたそのお茶を見て、鈴本先生は涙が出そうになったといいます。
一口飲めばどれぐらいの品であるかはすぐに分かります。お世辞にも高級と呼べるほどのお茶でな無いですが、とても丁寧に入れられていました。
太田君のお家は六畳一間。ここに母、兄弟3人、そして祖父母と住んでいます。
「狭いところで申し訳ないね、先生」
こうお話をするお母さんの向こうには、お祖父さんが横になっています。
「先生が家に来てくれるってこの子が嬉しそうに言うもんでね、先生は何が好きなのって聞いたらお茶だって言うから…」
お母さんも嬉しそうな顔で語っている。
「先生のお口に合うか分からないけど」
普段はパートに出ているお母さん。家計のためにちょっとの時間でも働きたいはずです。
息子の家庭訪問のためにお休みをいただき、先生のためのお茶を買ってきたのでしょう。自分たちは決して飲まないような余所行きのお茶。
「…本当に、美味しいです」感極まり、こういうのが精一杯だったそうです。
太田君は鈴本先生のことが大好きです。その先生が大好きなお母さんと会ってくれるのがとても嬉しい。
子供の喜ぶ姿を見られることは親にとって何よりも幸せです。そして感謝の気持ちを伝える一杯のお茶。
お茶に対しての知識はお母さんよりも圧倒的に優位です。だからこそ、このお家の状況で出てくるお茶でないことが瞬時に分かったのです。
また、それと同時に、「一杯のお茶」の価値を見出し、心の底から感動する気持ちをもつことができたといえるでしょう。
「実は、こんな素敵なお茶があるんですよ」と普段持ち歩いている、もっとおいしいお茶を出してしまったらどうでしょうか。いうまでもないですね。
このエピソードが、私に知識の「価値」のある使い方というものに目を向けさせてくれました。
ビジネスシーンでは、知識量をアピールすることが必要なことも多くあります。たとえば、あなたが営業職に就かれているのであれば、商品知識の量が競合他社の営業担当より上回っていれば、
お客様にとってそれだけあなたは、魅力的な存在となります。
しかし、知識のアピールだけでは不十分です。たとえば、ランクが低いサービスや製品ををお客様が使っていたとしても、
それには様々な経緯、理由があってのことです。
商品知識に自信があると、どうしてもより高いサービスを提供したくなるものです。お勧めの商品であればなおさらのことでしょう。
しかし、それは「もっと美味しいお茶」を勧めていることと同じなのです。
お客様にとって本当に価値のあるものを提案する為には、お客様の背景に広がるものにしっかりと目を向けることが必要なのです。
そして、その背景を見る「目」こそが知識であるといえるのです。