さらに、命のつながりを知る
残暑お見舞い申し上げます。プロフェッショナル・コーチの吉野 実岐子です。暦の上では、立秋に入りましたが、スコールのような雨が降る等、亜熱帯気候を思わせるお天気に、温暖化の影響を感じます。
さて、前回は、あなた個人の Being(在り方)に光を当て、Being を鍛えるには「役割にはまり切らない大きな自分の命で、役割にはまり切らない大きな相手の命に、関り続けよう」と、お伝えしました。
ふと、以下のような台詞を口にしたくなった方は、いらっしゃいますか?
『つまり、人と関るっていうこと?人脈なら、どんどん作っているよ。自分にとっては、既にやっている、当たり前のことに過ぎないよ』
『それこそ、一生懸命コーチングを勉強して、理解できない部下を受け入れるべく努力している。正直、嫌だと思う部下もいるけれど、自分に言い聞かせています。嫌いになっちゃいけない。関ることを、恐れちゃいけないってね』
『命と命でなんて言われても、そんなのね、理想論ですよ。成果主義の只中で市場で淘汰されないように、それだけで必死。現実の職場は、戦場なんだ』
確かに「ネットワーキング行動(人脈作り)」と「市場価値が高い人材」の間に、正の相関性はあります。
しかし「命と命の関り」は、異業種交流会への参加、部署横断ブロジェクト発足のための根回し、といったネットワーキング行動を超えて、あなたが本心から目の前の人に関ることを指します。
例えば、核心を避けたビジネスの話に、自慢の家族の話、そこに終始するならそれは単なるお喋りです。命と命で関っていません。どんな人生を生きようと決意し、何を渇望している人か、そんな問いを持って、相手の話に耳を傾けてみましょう。
また、コーチングを学ぶ管理職の方や、ご自分でコーチをつける経営者の方が増えていますが「人を嫌ったり恐れてはいけない」と、ご自分の自然な感情を押さえ込み、周囲のために貢献しようとする方に、時折お会いします。
人を嫌っても恐れても、いいのです。ただ、いつかまたその人とつながるかもしれない可能性を、同時に見てください。あなたの隣の人と順に手をつないでいけば、遠ざけた方の手とつながることを、無視しないで下さい。
命はつながっていて、競争原理の果てに、成果主義だから、と理由をつけたり理想論だとうそぶいても、この真実は変えられません。
だから「命のつながり」を知った上で、あなたの自然な感情である、人を嫌悪する気持ちや、関係を恐れる気持ちを、押し込めずに感じたり、やむを得ず人を遠ざけたりして下さい。
真実を否定せずに行動すると、今までと全く同じ行動を取っても、周囲に与えるインパクトが変わります。ご自分が周囲に与える、目に見えないインパクトまで、配慮できてこそ、市場価値の高い人と呼ばれるのではないでしょうか?