「ほぼ完了」に要注意!
皆さんこんにちは!『「自分時間」のための段取力』著者の吉田です。第2回の今回は、「仕事の終わり」について考えてみましょう。
あなたにとって、「仕事が終わった」というのはどの段階のことを指すのでしょうか?「9割方処理できたとき」でしょうか?それとも「自分の持ち分を全部片付けたとき」でしょうか?はたまた「終えた仕事をしかるべき相手に報告したとき」でしょうか…?
こうやって選択肢を挙げるだけでも、「仕事の終わり」に対する考え方は千差万別であることがお分かりいただけると思います。そして、この意識の違いこそが、その人の仕事ぶりや信頼度の違いに大きな影響を与えているのです。
終わりが近づいた、というだけで気を抜いてしまう人には、やはり責任ある仕事を任せるのは難しいと言わざるを得ません。また、あと一息で完了できる仕事をいくつも抱えたまま、次の仕事に手をつけてしまうのもやはり仕事の進め方がよいとは言えないでしょう。
吉田兼好が書いた『徒然草』という本に、『高名の木登り』という話があります。弟子が高い木に登って作業をしている間、何も言わずに地上で見守っていた師匠が、木の上での作業が終わりその弟子が地上近くまで木を下りたところで「気をつけて下りなさい」と声をかけたという話です。
この話のツボは「安心したときにこそミスが起きやすい」というところにあります。飛び降りてもよさそうなくらいの高さまで下りてきたときにこそ怪我をする要素がある、というこの教訓は、まさに先ほどの「終わりに対する意識」と通じるところがあると思いませんか?
私は経験上、「ほぼ完了」という状態が最も危険な状態だと考えています。なぜなら、仕事をしている本人も、そしてその仕事の管理者も、「終わったも同然」と気を抜いているからです。
しかし、「ほぼ完了」は「完了」ではありません。お客様から依頼された仕事は、お客様にその成果をきちんとお渡しすることによってようやく終わりを迎えるのです。いや、もっと突き詰めるなら、お客様からの報酬(代金)を手にして初めて終わりと言えるのかもしれません。
終わりに対する意識をしっかり持つことで、仕事の質も向上しますし、あなたの段取力も上がることでしょう。この機会に、あなたの終わりに対する意識をチェックしてみてはどうでしょうか?