明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社オールアバウト
社長
江幡哲也

●江幡哲也(えばたてつや)1965年神奈川県出身。リクルートにて、マーケティングデザイン室、キーマンズネットグループ、経営企画室兼次世代事業開発グループエグゼクティブマネジャーなどを歴任。2000年に同社を退社し、株式会社リクルート・アバウトドットコム・ジャパンを設立し、社長兼CEOに就任。04年に社名をオールアバウトに変更し、05年ジャスダックに上場を果たす。

第33回 前編

目的はユーザーが満足できる情報の提供

専門家が信頼できる情報を提供するサイト
最初に御社の概要をお聞かせください。

江幡社長:各分野の専門家であるガイドが情報を提供する総合情報サイト「All About」を運営しています。また、05年からはプロが目利きした商品を扱うオンラインセレクトショップ「All About スタイルストア」や、建築家やファイナンシャルプランナーといった専門家と出会える場を提供する「All About プロファイル」も運営しています。

御社のサイト「All About」の特徴はなんでしょう。

江幡社長:コンテンツを作る専門家のネットワークを持っていることでしょう。専門家が提供するからこそ、情報があふれかえっているインターネットの世界でユーザーの信頼を得て、こだわりに応えることができているのだと思います。

ニーズを予想したビジネスモデル
インターネットの特徴といえば「だれもが情報を発信できること」だと思います。あえて専門家による情報発信にこだわり起業された理由をお聞かせください。

江幡社長:会社を立ち上げる際に、今のように情報があふれかえる状況を予想し、信頼できる情報に対するニーズは高まるだろうと考えていました。そして、コンテンツとは人間が作るものですから、人間を育て、そのネットワークを作りたいと思いました。

また、人間は自分らしさや人とは違うものを求めるものです。でも自分の詳しくない分野だと、その分野に詳しい人、つまり専門家に意見を聞きたくなります。であれば専門家を集めたサイトはニーズがある、ニーズがあるということはビジネスのチャンスもあると考えたのです。

御社サイトで取り上げるテーマ、分野は多岐にわたりますが、どのように選ばれているのですか?

江幡社長:主な読者ターゲットは30代から40代ぐらいです。まずその年代に必要なテーマかどうかを検討します。

その上で、それをネットで展開するメリットはあるのか、つまりトラフィックがありそうかどうか、広告や物販などでの収益化ができるかどうかを検討します。そして、その分野で確かな情報を提供できる専門家がいるかを確認します。

現在、インターネットでは、専門家ではなくユーザーがコンテンツを作っていくCGM(Consumer Generated Media、消費者生成メディア)が注目を集めていますが、江幡社長はCGMをどうお考えですか?

江幡社長:だれもが自由に情報を発信できるというのはインターネットの大きな特徴だと思います。ブログやSNSなどはその特性を活かしたサービスといえるでしょう。

ただ、私の目標は「個人が情報を発信すること」ではなく、「ユーザーが満足できる情報を提供すること」です。情報を発進する側のニーズでメディアを作っても、それは読者の望むメディアではないでしょう。ですから、読者側の「確かな情報がほしい」というニーズに応えるメディアを作っていきたいと思います。

実現したいことがあったから社長に
会社勤めを経験されていますが、就職前から「起業したい、社長になりたい」と考えていらっしゃったのですか?

江幡社長:実家が中小企業を経営していたので、もしかしたら後を継ぐことになるかもしれない、それまでにいろいろと学んでおかなければいけないとは考えていましたが、起業したいということは考えていませんでした。。

それがなぜオールアバウトの設立を思い立たれたのですか?

江幡社長:前職では新規事業の立ち上げの責任者を務めていました。その中で「専門家が情報を提供する」という事業モデルを思いつき、それが世の中のためになると確信を持ちました。ではそれを実現するためにはどうしたらいいのだろうと考え、自分が社長になるのが一番スムーズに物事が進むだろうという結論に達しました。

社長になりたかったから社長になったのではなく、実現したいことがあったから社長になったという経緯ですね。

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アイデアではなく実現の時代
「来週つぶれるかもしれない」と思った創業時期の苦労を乗り切り、現在に至る江幡社長に、企業トップとしての心がけや、「やりたいこと」を見つけるためのヒントなどをお伺いしました。