明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社日広
代表取締役社長
加藤順彦

●加藤順彦(かとうよりひこ)1967年、東京都生まれ。関西学院大学入学後、株式会社リョーマの創業に参加。情報通信サービス、コンテンツ事業などでさまざまな学生起業を友人達と手がける。事業の終焉にともない、徳間書店グループへ勤務。音楽・映画などのプロモーションなどに携わる。92年に日広を設立。
(株)日広Webページhttp://www.koukoku.jp/

第18回 前編

時代の最先端をキャッチアップせよ

新しい広告を提供したい
御社の業務内容を教えてください。

加藤社長: インタラクティブマーケティングを得意とする総合広告会社です。クライアントからの課題に対して、マーケティング戦略、メディア戦略、クリエイティブ戦略をアイデアとして統合し、生活者にもっとも効果的に響くよう、戦略的かつフレキシブルな広告展開を立案しています。

メインはインターネット広告でしょうか。

加藤社長: そうですね。弊社は雑誌広告からスタートしましたが、96年には、いち早くインターネット広告の取り扱いを始めました。3年後の99年には、インターネット広告が売上の9割を占めるまでになりました。

インターネットに軸足を移したのはなぜですか?

加藤社長: これからインターネット広告市場が伸びていくという確信があったことが大きかったですね。また、インターネットの登場によって既存の広告の役割が変われば、新しい時代の新しい広告会社が必要になるのではないかという読みもありました。

私たちが弊社を「総合広告業」と位置づけているのも、ただインターネット広告とその他もを扱うというだけではなく、新しいコミュニケーションに対応できる、新しい広告の在り方を世の中に提供していきたいという思いを込めているからです。

追い風に煽られて大きくなった
成長の秘密を教えてください。

加藤社長: 弊社は、時代の追い風に煽られてここまで大きくなったと思います。インターネット広告の市場規模は、96年の約16億円から、06年には約2880億円まで伸びました。この10年間は、この追い風をつかんでウインドサーフィンをしているような感覚でした。

ただ、同じ広告業でも、追い風に乗れなかった企業が数多くあります。

加藤社長: 00年くらいまでは、自称“インターネット広告代理店”も多かったですよね。ただ、ネットバブルが弾けて、それらの多くが淘汰されてしまいました。

それらの会社との違いはどこでしょう?

加藤社長: この10年間は変化が非常に激しかったように思います。時代の変化、技術の変化、そしてインターネットと人の関係の変化…。一度、波に乗ったとしても、これらの変化をつねにキャッチアップしていかないと、持続して成長するのは難しい。弊社は「時代の先端にフィットしたコミュニケーションを創出し続けること」をミッションに掲げていますが、その意識を持ち続けることが大切だと感じています。

社員1人1人の活躍を重視する
社長として気にかけていらっしゃることはありますか?

加藤社長: いま意識しているのは、社員1人1人が成長できる仕組みがあるのか、そして1人1人の目標をトレースできる組織なのかどうかという点ですね。

その経験は、何かの役に立ちましたか?

加藤社長: 私から見て、弊社は3つの時代に分けられます。92年に創業してからの3〜4年は、枠の調達が会社の序列で決まる雑誌広告にあまり夢を感じられず、人に求められる範囲、自分でなんとかやっていける範囲で事業を展開していました。

その後、96年にインターネットに出会い、新しいメディアとして注目し「これこそ自分の一生をかけてやる事業だ」と確信しました。そこでしばらくは、私が社員を引っ張る形で事業を展開していきました。ただ、良くも悪くも“マイ・カンパニー”は社長しだいで、個人の能力だけでは足りない部分が生じてしまいます。

そのため99年ごろから考え方を変えて、社員1人1人が力を合わせて成長を続ける“アワ・カンパニー”へと大幅な権限委譲を行いました。そして、この先目指すのは、“ユア・カンパニー”です。もはや自分達だけの会社ではなく、「世の中になくてはならない存在」になろうと志しています。

社員を大切にする姿勢も、御社が成長を続けている理由の1つだと思います。

加藤社長: この業界は人材の流動が激しく、弊社も中途採用が多いのですが、一方で、離職率は一般企業に比べてもかなり低い。これも社員1人1人が、弊社を自分が成長するステージだと捉えてくれているからだと自負しています。

また、風通しのよい組織でありつづけるということに、こだわっていますね。意識的にさまざまなコミュニケーション施策が横断しています。なにもしないで、風通しのよい組織など、ありえないですから。しかも、社員同士が交流できる企画や、仕事のやり方なども、上から押し付けるのではなく社員からの発案や、提案によって運営されています。私がやっていることは、「どうしたら、自分が発揮できる、居心地のよい会社であれるかを考えてください」と、言い続けているだけです。

学生時代にビジネスを学んだ
小さなころから企業家になることを意識していたという加藤社長。学生時代の起業体験から学んだことや、プライベートで気をつけていることなどについてお伺いしました。