明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社ハー・ストーリィ
代表取締役社長
日野佳恵子

●日野佳恵子(ひの・かえこ)島根県出身。タウン誌編集長、広告代理店などを経て、1990年に広島市で主婦市場を専門とするマーケティング&コンサルティング会社を設立。元祖クチコミマーケティング提唱者としてクチコミをビジネスに生かせる仕組みやコミュニティ作りを推進している。

第70回 後編

「楽しいこと」を見つけるために
今必要なこととは?

自身の経験を生かした起業
起業の経緯を教えてください。

日野社長:私は元々、広告代理店で働いていました。そのとき、子供ができたのですが、家庭と仕事の両立に苦労しました。もちろん、家庭、子育てもしっかりしたい。でも、仕事での自己実現も追求していきたい。そう考えましたが、なかなか難しいんですね。子供は急に熱を出すこともありますし。

そんな時、同じような境遇のパートの仲間と意気投合して、家庭と仕事が両立できる会社を作ろうという話になったのです。

起業に際しては代理店での経験が役に立ちました。代理店は、フリーライターやイラストレーターなど様々な人を束ねています。それは、例えば「この仕事をいつまでに仕上げるためには、この部分をいつまでに仕上げる必要がある。じゃあ、今空いているあのライターさんに依頼しよう」といった感じで、時間で組み合わせています。このモデルは、主婦に向いているな、と思いました。つまり、主婦には空き時間もあります。それを組み合わせれば1つの仕事が出来上がるのです。自宅でできるものも多いでしょう。それで主婦のネットワークを作ったのです。

最初から今のように順風満帆でした?

日野社長:起業して18年になりますが、最初の内は仕事もなく、内職の代行をはじめ何でもしていました。でも、「何でもやりますよ」だけではダメなんですよね。特徴が明確でないと、お客様はわざわざ選んでくれません。

ですので、私は名刺に「広島市内300人の主婦を集めています」といったことを書いていました。そうすると、それを見た人が「面白そう」「何かできそう」といった風に興味を持ってもらえました。あとは、その主婦の集まりをどんどん大きくしていくこと。今では10万人にまで大きくなりました。

また、実績を積むことも大切です。マーケティングやコンサルティングは“モノ”をつくっているわけではありませんので、実績が全てです。ですので、広島市ではじめた会社ですが、東京に進出し、大企業とも仕事し、実績を積んで自社のブランディングに力を入れました。

「真剣にやってみた」事実こそがキャリアになる
今後の事業展開、力を入れていこうと考えていらっしゃることを教えてください。

日野社長:もうすぐ設立20周年を迎えますので、20年の集大成の時だと考えています。先ほども申し上げたように、自社のブランディングのためには実績が必要ですし、実績を積むためには社員ひとりひとりがプロフェッショナルである必要があります。ですので、社員がプロとしての働きができるように教育に力を入れていますし、講演などの場でも私ひとりだけではなく、社員が講演する機会を設けるようにしています。そうした教育の成果、ノウハウをテキスト化したいと思っています。

また、これまで対企業、BtoBが中心でしたが、消費者と直接関わるBtoCにも進出していきたいと思っています。すでに広島市内にその拠点となるカフェレストランをオープンしました。また、例えば平日はガラガラのショールームを利用したお料理教室のような、ムダになっている「入れ物=ハード」に、ソフトを入れていく「空間の合理化」も検討しています。「新しい公民館」のような位置づけで、人の交流が図れればと思います。

最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。

日野社長:「楽しいことをしたい」と思っている方も多いでしょう。そしてそれが見つからず悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。もし見つからないのなら、まずは今、目の前にあることに真剣に取り組んでみてください。真剣に取り組んでみて初めて、それが自分に向いているのかどうかが分かりますし、そうした苦労の中から自分が楽しいと思えるものが見つかるはずです。

また、「真剣にやってみた」という事実こそがキャリアを形成し、自分の自信にもつながるはずです。