明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

ビックタウン株式会社
社長
近藤勝俊

●近藤勝俊(こんどう・かつとし)1971年埼玉県出身。中学・高校と英ロンドンで過ごし、大学卒業後、証券会社勤務を経て、01年に楽天に入社。ECコンサルタントとして実績を残す。03年、楽天を退社し、有限会社ビックタウンを設立。05年、株式会社となり現在に至る。
ビックタウン株式会社Webサイト http://bict.jp/

第27回 後編

「稼ぎたい!」と本気で考えてほしい

社員のモチベーションを下げないためには
近藤社長が目指す社長像をお教えください。

近藤社長: やはり楽天の三木谷社長はすごいなと思いますね。

私自身としては、色々口出しをしない、縁の下の力持ちになりたいと思っています。お金がなかった起業当時、何でも自分でやっていたためか、今でも私が社内ネットワークを作ったり、名刺のデザインをしたり、コピー機の台を組み立てたりをやっていて、社員からは、「社長、そんなことまで…」と言われることもあるのです。

でも、営業の現場といった業務の本質には口を出さないようにしています。社長が社員のモチベーションを下げてしまってはどうしようもないので、ドンと構えて「精一杯やって来い!」というスタンスを心がけています。

頼りになる社長なんでしょうね。

近藤社長: そうありたいと思っています。そのため、何か人に言う前に自分が実行し、見本になれるように心がけています。

たとえば、些細なことかもしれませんが、敬語の使い方。年上の方に敬語を使うのはマナーの基本だと思うのですが、それができていない社員にいちいち注意するより、私がちゃんと使って見本になるよう心がけています。役員には年上の方もいますが、その場合でも決してタメ語は使いません。時にはケンカになることもあるのですが、そんなときでも私は敬語です。そういったところから社員の見本になれればな、と思っています。

社員は弟・妹、そしてパートナー
逆に社員にはどういったことを求められますか?

近藤社長: 気合があって、何事もあきらめないことです。後ろを振り向かず、常に前を見続けることが大切だと思います。生きていれば、色々と失敗や挫折を経験することもあるでしょう。でも、失敗は、それ自体は悪いことではなく、そこであきらめずどう乗り切るかを考えることで人間は成長できるのです。

ご自身も採用面接に出られているそうですが、どういったところを見られますか?

近藤社長: 何よりも気合ですね。履歴書を見るとすばらしい経歴の持ち主なのですが、結局は採用に至らなかったというケースも多々あります。大事なのは知識ではなく気合です。わが社で仕事をするためにはある程度のインターネットの知識は必要です。でも、知識があまりなくても、気合があれば学ぼうとするものです。そのほうが将来的に伸びることもあるんですよ。

では御社には、社長のメガネに適った気合たっぷりの社員がいっぱいいらっしゃるわけですね(笑)。

近藤社長: そうですね。私は社員と一緒に会社を大きくしていきたいと思っています。ですので、私の思いと共感できる人を採用するようにしています。社員は、息子・娘ではなく、弟・妹のような存在、つまりパートナーだと思っています。そういった関係性を大切に、会社としての総合力で競争を勝ち抜いていきたいですね。

そして、お客さんを大切にする心を持ち続けてほしいです。私の原点は「どうすればもっとお金を増やせるんだろう」でした。ただ、稼ぐためには何をしたらよいのだろうと考えると、結果的にお客さんに喜んでももらうことが不可欠なんです。目先の売上にばかり気をうばわれず、長い目でお客さんとの関係を考えてほしいですね。お客さんにはいつも自然体で、感謝の気持ちを忘れないこと、そしてお互いに「win-win」の関係を築くこと。私はそうして会社を運営してきました。社員にもその気持ちを大切にしてもらいたいです。

自分の“営業力”を信じてほしい
最後に読者にメッセージをお願いします。

近藤社長: 例えば今、転職活動中でなかなか自分の思うようにいかないと自信をなくしている人もいるのではないでしょうか。そういう人には、「怖がらないでチャレンジしてほしい」と言いたいです。自分を売り込むというのは営業と似ています。自分の営業力に自信を持ってください。 あと、私は「稼ぎたい」と思って起業しました。世の中には「稼ぎたい」とはっきりと口にすると、それを否定的に捉える風潮もあります。でも、必死になることは決して悪いことではありません。何かで成功するためには必死になることが重要です。その動機が「稼ぎたい」でもいいのではないでしょうか。ですので、私の会社には「稼ぎたい」と本気で思っている人に来てほしいと思っています。

編集を終えて
インタビュー中、近藤社長から一番よくお聞きしたの言葉が「お客さんのことを第一に」。ご自身の言葉の通り、お客さんのことを大切にしてきたからこそ、ビックタウンという会社は急成長してきたのだろう。人材の派遣・紹介業など新たな事業展開を進めている同社も、その根幹を守りつつ成長し続けるだろうと感じた。