明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社ネクスト
代表取締役社長
井上高志

●井上高志(いのうえたかし)1968年生まれ。横浜市出身。1991年青山学院大学卒業後、リクルートコスモス入社。その後リクルートを経て、1995年にネクストホームを創業し、1997年に株式会社ネクスト設立、代表取締役に就任。日本最大の不動産情報ポータルサイト『HOME'S』などを運営している。
(株)ネクストWebサイト http://www.next-group.jp/
日本最大の不動産情報ポータルサイト『HOME'S』 http://www.homes.co.jp/

第20回 前編

「利他主義」により、すべての人を幸せにしたい

住生活全般のワンストップサービスの展開へ
会社概要をお聞かせ下さい。

井上社長: 日本最大の不動産情報ポータルサイト『HOME'S(ホームズ)』の企画・運営がメインの事業です。『HOME'S』は、全国の賃貸、売買、新築マンション、戸建、土地、店舗、駐車場などの不動産物件約160万件を公開し、月間のユニークユーザー数(訪問者数)が400万人に達する巨大サイトに成長しました。また『HOME'S』で公開している物件情報は、楽天、infoseek、excite、Niftyをはじめ50を越える有名サイトにも提供しています。

私が主宰する「経営塾」や、社内転職制度や様々な研修制度など、「将来起業したい!」「成長したい!」という社員を応援する仕組みも整えています。

『HOME'S』を中心に、ほかにも色々とサービスを広げていらっしゃるようですね。

井上社長: はい。ファイナンスやハウジングなどの新規事業も展開しています。住生活全般を豊かで快適なものにするために、エンドユーザーのニーズに応じたワンストップサービスを提供する「暮らしのインフラ」を目指していきたいと考えています。

インターネットと出会い起業を決意
そもそもなぜ、不動産情報サイトを立ち上げようと思ったのですか?

井上社長: 就職活動を始めたころから不動産業界に興味を持っていました。人間にとって欠かせない「住む」ということのお手伝いをしたい、と考えていたからです。そして、当時デベロッパー業界で勢いのあったリクルートコスモスに入社しました。

入社してからはどうでしたか?

井上社長: 私が入社したのが’91年。バブルがちょうど崩壊したころですから、業界全体として色々不安もありました。それでも私は「家探しを通じてお客様の役に立ちたい」という思いを持っていましたので、がむしゃらに頑張りました。そしてお客様に「ありがとう」と笑顔を向けていただけるだけで満足していました。大変なことも色々ありましたが、非常にやりがいのある仕事でした。

ではなぜ起業しようと思われたのですか?

井上社長: 当時、不動産業界に身をおいている私でさえ、物件情報を収集するのは非常に難しいものでした。ならば、一般の方でもより多くの情報の中から自分が求めている情報を簡単に取得できる仕組みを作り、少しでも多くの人々の役に立ちたいと思うようになったのです。

しかし、不動産業界に対して熱い想いがあったにも関わらず入社後約3ヶ月でリクルートに出向することになり、4年ほど新卒・中途採用など不動産とは関係のない仕事についていました。その間も不動産業界への想いは捨てきれず、ずっと自分の理想を実現するためのビジネスモデルを考え続けていました。

そんな時、インターネットと出会ったのです。「インターネットという道具があればやりたいことができるかもしれない!」と思い、95年の夏に会社を退職し、ワンルームマンションの一室でビジネスを始めました。

その後、急速にビジネスを拡大されましたね。その秘訣はなんでしょう?

井上社長: 不動産物件の掲載料金を定額制で載せ放題にしたことが挙げられると思います。このおかげで、幅広い物件情報が集まりました。

というと?

井上社長: 条件の良い物件なら、自分の店先に広告を張っておけばすぐに成約します。そんな物件をわざわざ掲載料を払ってまで、我々のサイトに掲載する必要はないですよね?また逆に「風呂なし4畳半2万円」などの物件を、元が取れないかもしれないのに高い掲載料を払ってまで宣伝しないでしょう。でも掲載料が固定なら何件載せても同じ。不動産会社にしたら「料金が同じならできるだけたくさん掲載しておこう」と思います。そうするとユーザー側からすると「情報が充実したサイト」と映るようになるのです。

「信頼」の大切さを実感
では起業されてからは順風満帆でしたか?
(株)ネクストが運営する不動産ポータルサイト「HOME'S」

井上社長: いえいえ、色々と苦労しました。例えば起業直後でいえば、仕事はきついし給料も安いので、なかなか人材の確保ができませんでした。

また、資金繰りに困ることもありました。そのときは前職の先輩がポーンと無利子で100万円貸してくれたんです。そのお金のおかげで会社はつぶれず今につながっています。

ずいぶん気前のいい先輩ですね。

井上社長: 実は、その先輩は前職で私が担当していたクライアントを引き継いでいただいた方だったのですが、ありがたいことにクライアントの私に対する評価が高かったらしいのです。その評価を聞いていた先輩は、「井上ならきっちり返してくれるだろう」と私のことを信頼してくれていたのです。このとき、「本当に人とのつながりは大切にしないといけない」と思いました。と同時に、人から信頼される人間にならなければいけないとも強く感じました。

仕事を楽しめるかどうかは自分次第
毎晩遅くまで仕事をしているという井上社長に、息抜きの方法や時間に対する考え方を教えてもらいました。