明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社ECナビ
CEO
宇佐美進典

●宇佐美進典(うさみしんすけ)1972年生まれ、愛知県出身。早稲田大学商学部卒業後、トーマツコンサルティングに入社し、金融機関の業務改善プロジェクトに携わる。99年にアクシブドットコム(現ECナビ)を設立し、取締役CCOに就任。02年10月に代表取締役CEOに就任。05年11月にサイボウズと合弁でcybozu.netを設立して代表取締役CEO就任(現任)。同年12月サイバーエージェント取締役就任(現任)。
価格比較サイトECナビhttp://ecnavi.jp/

第19回 前編

安定を求めず、新しいことに挑戦

ユーザーとの距離感が近い価格比較サイト
御社の事業内容を教えてください。

宇佐美社長: ネット上で販売されている商品の中から、欲しい商品を検索できる価格比較サイト「ECナビ」を運営しています。商品の価格の比較だけでなく、オンラインショップや商品に関するクチコミ情報などをワンストップで提供しています。

他の価格比較サイトと比べて、どんな違いがありますか?

宇佐美社長: 「ECナビ」はユーザーさんにより親しみを持ってもらえるようにポイント制を採用しています。ポイントが貯まるとショッピングしたときにキャッシュバックされる仕組みです。ポイントはECナビを通してショッピングをしたり、懸賞に応募することや簡単なゲームに参加すると貯まります。単にショッピングするだけでなく、毎日訪問しても楽しめるようなサイトを意識しているので、他の価格比較サイトに比べるとユーザーさんとの距離感は近いかもしれません。

最近、とくに力を入れているところは?

宇佐美社長: 昨年10月に、次世代のテクノロジーの研究開発を行なう「ECラボナビ」を立ち上げました。従来はビジネスモデルが先にあって、それをテクノロジーが支える形でサービスが展開されてきましたが、いまやテクロノジーとサービスを同時に考えなくてはいけない時代になりつつあります。すでにラボから3つのサービスをリリースしていますが、今後も引き続きテクノロジーから入って新しいサービスを開発していきたいですね。

会社を立ち上げるのは難しくない
起業を志したのは、いつごろからですか?

宇佐美社長: 昔から商売には興味がありましたが、起業を明確に意識し始めたのは学生のころです。じつは大学1年生のとき結婚しているんです。学生結婚という普通ではない道を選んだのだから、あとの人生も思い切って何でもできるような気がしたんでしょうね。普通のサラリーマンになるつもりはまったくなかったです。

卒業後はどうされたのですか?

宇佐美社長: 最初はコンサルティング会社に入社してビジネスを学び、そのあとは海外留学してMBAを取得して、帰国して外資系企業で経験を積み、30歳くらいで独立できたらいいなと考えていたんです。

コンサルティング会社に入るところまでは予定通りでしたが、2年後には知人が立ち上げたベンチャー企業に転職。4〜5人の小さな会社でしたが、なんとか事業を回しているのを中から見ているうちに「会社を立ち上げるのって意外に簡単だな」と思うようになり、99年に自分の会社を作りました。予定より、かなり早かったですね(笑)。

新しい事業領域に挑戦
当初は懸賞サイトの運営をされていたそうですね。

宇佐美社長: もともとは、ひとつのIDでさまざまなサイトを利用できるゲートウェイのサービスを事業化するつもりでした。そのサービスをどう利用すれば便利なのかと考えたときに、思い浮かんだのが懸賞サイト「MyID」です。懸賞に応募するときには住所や氏名を入力する必要がありますが、このサイトを利用すれば入力の手間が省けますからね。

それがヒットして4年後には懸賞サイトナンバー1になりました。そこから価格比較サイトに移ったのはなぜですか?

宇佐美社長: 懸賞サイトはニッチな事業であるわりに競争が激しく、いずれ頭打ちになる恐れがありました。一方、価格比較サイトはカカクコムさんの一人勝ち状態で、競合がいなかった。むしろチャンスがあるのはそちらだと判断して「ECナビ」を立ち上げ、「MyID」を統合することにしました。それが04年のことです。

新しい分野に挑戦する不安はありませんでしたか?

宇佐美社長: 懸賞サイトが絶好調の時期でしたから、当然、周囲からは反対されました。でも、いい時期だからこそ、新しいことに挑戦しやすいという面もあります。それに、私はもともと「やればなんとかなる」と考えるタイプ。不安よりも期待のほうが大きかったですね。

仕事に打ち込める時間を大切にしたい
毎晩遅くまで仕事をしているという宇佐美社長に、息抜きの方法や時間に対する考え方を教えてもらいました。