明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

グリー株式会社
代表取締役社長
田中良和

●田中良和(たなかよしかず) 1977年、東京都生まれ。日本大学法学部卒業後、ソニー・コミュニケーション・ネットワークを経て、00年に楽天に入社。オークションやブログ、アフィリエイトなどの企画、開発、運営に携わる。04年、個人サイトとしてSNS「GREE」の公開を開始。同年、楽天を退社し、グリー株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。
グリー(株)サイトhttp://gree.jp/

第14回 前編

趣味で始めた個人サイトで独立

インターネット業界では若さが武器になる
御社の事業内容を教えてください。

田中社長: SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「GREE」を中心に、さまざまなインターネット・サービスを提供しています。SNSだけをやる会社だと思われがちですが、転職や就職、スキルアップなどについてQ&A形式で相談できる「GREEキャリア」など、他にもコミュニティサイトやWebメディアを積極的に展開しています。

すべてインターネット上のサービスですね。

田中社長: そうですね。インターネットの面白さは、個人が誰でも情報発信できたり、コミュニケーションを取れるというところにあります。これからも、その面白さを追求してインターネット・サービスを提供していきたいですね。

社長ご自身もそうですが、社員のみなさんも非常に若いですよね。

田中社長: 平均年齢は約25歳です。若さを気にしたことはないです。そもそもインターネット業界自体の歴史が浅く、この業界で20年、30年もメシを食ってきたという人はいないわけですから。いままで何をしてきたかということより、これから何ができるのかという点で、むしろ若さは武器になると考えています。

軽い気持ちで始めたSNS
SNSとは、どんなサービスですか?

田中社長: 日記や写真を公開して会員同士が交流を深める招待制のコミュニティです。会員数は現在、35万人弱です。

もともとは田中社長が楽天に勤務していた2004年2月に、個人の趣味で始められたとか。

田中社長: 楽天でブログサービスを立ち上げたあと、次にくるのは何だろうかと考えて、当時アメリカや韓国で流行り始めていたSNSに目を付けました。

会社のサービスとして立ち上げなかったのはなぜですか?

田中社長: 当時はブログでさえ「本当にお金になるのか?」と言われていました。SNSは、ずっと先をいくサービスだったので、とりあえず自分で始めてみて、それから考えようかと。もともと学生時代から掲示板を作ったり、メーリングリストを運営するなど、ネット上の仕組みを作るのが好きだったので、SNSもその延長線上の軽い気持ちでしたね。

その約10ヵ月後には独立して会社を立ち上げられました。何か心境の変化があったのですか?

田中社長: あるとき、ユーザーから「田中さんが死んだらGREEはどうなるの?」というメールをいただきました。それまで1人でやっていましたが、僕が死んだらGREEがなくなるというのでは、たしかにユーザーに対する責任を果たせない。サービスとしてきちんと継続していくためには、時間もお金も人も必要です。そこで、その受け皿として会社を設立することにしたんです。

流行っているものは何でもトライ
他のSNSサービスは意識されますか?

田中社長: いや、ほとんどしませんね。競合の動向を見るのではなく、つねにユーザーのほうを向いて仕事することを意識しています。

それはなぜですか?

田中社長: サービスは3〜5年で移り変わっていくもので、いずれはSNSも定番化して普通のサービスになっていくでしょう。そのときに競合他社を見ていても、新しいサービスを生みだすのは難しい。新しいものを生み出すには、いまユーザーが何に興味を持っているかということだけを注視していればいいと思います。

そのために田中社長が心がけていることは?

田中社長: とにかく流行っているものは何でも一度、自分でやってみることにしています。表参道ヒルズがオープンしたと聞けば出かけるし、ニンテンドーDSが売れていると聞けば、実際に買ってゲームをやる。自分で経験すれば、ユーザーがどこに興味を持っているのかを身をもって知ることができますからね。まあ、ホントは自分も興味があるからやってみたいというだけなんですが(笑)。

でも、自分が興味を持つということは大事ですよね。

田中社長: そう思います。SNSを始めたのも、自分が面白そうだなと感じたから。自分が興味を持てないものを人に提供しても、きっとうまくいかない気がします。

自分の好きなことを仕事にする
そもそもビジネスには興味がなかったという田中社長が、経営に関心を持ち始めたきっかけや、サラリーマン時代に学んだことなどについてお話をお伺いしました。