明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社ネットプライス
代表取締役社長兼CEO
佐藤輝英

●佐藤輝英(さとうてるひで)1975年愛媛県出身。93年慶應義塾大学入学。大学3年生のときに北尾吉孝氏と出会いソフトバンクに入社。EC決済サービスのサイバーキャッシュ(現SBIベリトランス)日本法人立ち上げに参画。00年、ネットプライスの代表取締役に就任。04年に東証マザーズに上場。
(株)ネットプライスWebサイト http://www.netprice.co.jp/

第13回 前編

お買い物のワクワクドキドキを
大切にしたい

ギャザリングで急成長
事業内容を教えてください。

佐藤社長: 「買いものほど、オモシロイ遊びはない」というテーマを掲げてeコマース事業を展開しています。お買いもののプロセスで生じるワクワクドキドキをお客様に提供したいという思いで、6年前から「ギャザリング」というビジネスモデルを展開しています。

ギャザリングとは、どんなビジネスモデルでしょうか?

佐藤社長: インターネットを利用した共同購買システムです。商品の販売期間を1週間と定め、その間に欲しいというお客様が一定数以上集まれば、それに応じて段階的に値段が安くなります。たとえば安く手に入れるために友達を巻き込んだりしながら、買うまでのプロセスを楽しめるのが特徴です。

どんなアイテムを扱っているのですか?

佐藤社長: ファッションから美容、デジものまで、週に約800〜900アイテムを幅広く扱っています。現在、PCサイトと携帯サイトで展開していますが、PCでは生活便利商品が、携帯ではトレンド商品が人気になっています。

消費者を向いたサービスを提供
ユニークなビジネスモデルですね。

佐藤社長: もともとはアメリカで、グループバイイングと名づけて事業展開している会社があったんです。ただ、向こうでは定着しなかったようです。ビジネスモデル先行でシステムに頼りすぎて、消費者のほうを向いていなかったことが原因だと分析しています。

逆に日本で受け入れられた要因は何でしょうか?

佐藤社長: 日本を含めたアジア地域では、ブランド商品に代表されるように、売れているものがより売れるという傾向があります。そうした国民性が、このビジネスモデルを後押ししてくれた気がします。

共同購入といえば、日本にも以前から生活協同組合などのビジネスモデルがあります。インターネットを利用することの強みは何でしょうか?

佐藤社長: インターネットの本質は、参加型であると同時に、ユーザーにパワーシフトできることだと思います。従来の小売は商品提供者が力を持っていましたが、インターネットなら消費者が参加して値段を動かしたり、商品のリクエストを集めてメーカーに届けることができます。お客様のパワーをスピーディーに反映できるという点が、このビジネスモデルの強みではないでしょうか。

変化をやめたときに衰退が始まる
社長に就任した経緯を教えてください。

佐藤社長: 大学卒業後、ソフトバンクに入社し、eコマースの決済サービスを提供するサイバーキャッシュ(現SBIベリトランス)の立ち上げに参画していました。そこで営業から組織作りまで、事業にかかわることはすべてやったのですが、経営だけは経験できなかった。やはり自分で経営してみたいという思いがあり、サイバーエージェントの藤田社長からジョイントベンチャーでネットプライスを立ち上げたとお聞きしたとき、迷わず手を上げました。

社長として、いつも心がけていることは何ですか?

佐藤社長: たえず変化し続けることですね。人も会社も、変化を志すことを止めてしまった時点で衰退が始まると考えています。世の中がものすごいスピードで変化していく中では、自分たちが何も変えないまま同じ場所に留まるのは難しい。現在、年商が100億円を突破しましたが、売上がいくらになっても、その気持ちは持ち続けたいと思っています。

チャンスは貯金できない
eコマースの分野で成功を収められた佐藤社長がインターネットに興味を持ち始めたきっかけや、人生の転機になったイタリア留学の話などをお伺いしました。