明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社カフェグローブ・ドット・コム
代表取締役
矢野貴久子

●矢野貴久子(やのきくこ) 1962年東京都出身。85年日経BP社に入社し、編集の道に。86年、フリー編集者・ライターとして独立。『Oggi』や『Domani』などの女性誌を中心に、多くの雑誌で活躍。99年、TBSブリタニカ(現阪急コミュニケーションズ)に入社し、『FIGARO japon』に携わる。同年11月、(株)カフェグローブ・ドット・コムを設立し、代表取締役に就任。
ネットメディア『カフェグローブ・ドット・コム』 http://www.cafeglobe.com/

第11回 後編

やらずに後悔するより、挑戦したい

休みが取れたらハワイにいきたい
最近はお休みは取れていますか?

矢野社長: 会社の創業期からずっと忙しくて土日もほぼ仕事している状態でした。たまに休めるようになったのは去年あたりから。いまは意識して、少なくても週に1日、日曜日は完全に休むようにしています。

休日はどんな過ごし方を?

矢野社長: 今年に入って意識して体を動かすようにしました。ジムで汗を流したり、ゴルフにいったり。

まとまったお休みは?

矢野社長: お正月やお盆は多少時間が取れますが、普段はまだ難しいですね。もし長い休みが取れたら、ハワイに行きたいな。編集者時代、「ハワイなんて…」と馬鹿にしていたんですが、実際に訪れてみたら幸せオーラがいっぱいで、すぐにファンになってしまいました(笑)。

子供のころはどんなタイプでしたか?

矢野社長: 小学生のころはイジメられっ子でした。身体が小さくて、運動が苦手で、だけど性格はナマイキで。今から考えるとそれほど陰湿ないじめではなかったと思いますが、子どもにとっては非常につらいことでした。大げさに言えば、10年先より、明日どう生きるかで頭を悩ませている子供でした。変わったのは、地域の子ども向けスポーツクラブに通うようになってから。先生がすごく褒めてくれて、まず自分に少しずつ自信がついて、回りの人とうまくやっていくコツがつかめるようになりました。

やりたいと思った瞬間が決断のとき
学生の頃の夢は何でしたか?

こだわり派が選ぶおしゃれなブログサイト 『Cafeblo』 http://www.cafeblo.com/ 矢野社長: 学生のころは、舞台演出や振り付けをしてみたいと考えていました。ただ、それでは、食べていくための仕事になりにくい。日本できちんとした会社組織となると劇団四季なのかな、と思ったりしましたが、入れる訳もないと思いましたし、それも何か違う気がして…。

編集の道に入ったのは?

矢野社長: たまたま日経BP社の臨時職員の仕事を見つけました。編集補助の仕事でしたが、実際に現場を見ているとこれが楽しそうで。舞台で振り付けするのと雑誌の誌面を作るのは、見る人を楽しませて感動を与えるという意味では同じ。すごくやってみたいなと思ったんです。

28歳のとき、編集者を辞めて医大を受験されたそうですね。

矢野社長: 編集の仕事は体力的にハード。面白いけど、これを50歳、60歳まで続けていくのは大変だと思い始めました。仕事は一生続けたかったので、ずっと現役でいられて、何か社会に貢献できる仕事ということで、それは国家資格だろうと非常に短絡的な思考で医学部を受けてみようと思ったんです。

決断するときに迷いませんでしたか?

矢野社長: やって失敗する後悔より、やらなくて感じる後悔のほうが怖かったんです。結局、国立はだめで私立の医大に受かったものの資金面で難しくて、また編集の仕事に戻ったのですが、そのとき勉強に専念したことは後悔していません。考えてみれば、会社を立ち上げたのも同じこと。このタイミングでやらなければきっと後悔すると思ったからこそ、思い切って決断できたんです。というより、やらずにはいられなかった、という感覚のほうが強かったですね。

無駄なチャレンジは存在しない
人生の岐路に立ったとき、大切なものは何でしょう?

矢野社長: 自分の気持ちが一番だと思いますが、一方で大事なのが貯蓄、貯金ではないでしょうか。何かやりたいと思ったときに、ある程度の準備がないと、すぐに踏み切れないこともある。私が突然医学部を受験したり、会社を立ち上げることができたのも、自分で意識して「何かやりたくなったときのために」と資金を貯めていたから。もし蓄えがなかったら、親から借りるとか、貯めることから始めることになり、スタートが遅くなったかもしれません。

最後に、これから新しいことに挑戦しようとしている人にメッセージをお願いいたします。

矢野社長: やりたいと思ったことは、失敗を恐れないでやる、ということでしょうか。最低限のリスク管理は必要ですが、チャレンジした結果、たとえ望むものが手に入らなかったとしても、必ず何かを得ているはずなんです。私は医師になることはできませんでしたが、医大受験を通して、短期間に集中して勉強する自分なりのノウハウが身につきました。これが、起業して経営やシステムの知識を学ぶときに大いに役に立ちました。どんな挑戦も、けっして無駄ではないと思うので、勇気を出して、ぜひ一歩を踏み出してほしいですね。

編集を終えて
女性向けウェブサイトを運営している会社の経営者に相応しく、おしゃれでセンスのよい立ち振る舞いが印象的だった矢野社長。華やかなだけでなく、経営が軌道に乗ったいまも「まだまだ勉強の毎日です」というように、地道な積み重ねを大切にする努力家でもある。今後も働く女性のお手本として、そしてITベンチャーの経営者として、さらなる活躍が期待できそうだ。