明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

ケンコーコム株式会社
代表取締役社長
後藤玄利

●(ごとう・げんり)1967年、大分県で80年の歴史を持つ地場の製薬会社の創業家に生まれる。89年東京大学教養学部基礎科学科卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。94年実家のうすき製薬株式会社に取締役として入社。同年株式会社ヘルシーネット(03年2月にケンコーコム株式会社に社名変更)を設立し代表取締役に就任。97年うすき製薬株式会社代表取締役に就任(01年より取締役)。00年5月に健康関連商品の通販サイト「ケンコーコム」を立ち上げた。
ケンコーコムwebサイト:http://www.kenko.com/

第3回 前編

縁がある身近なもので成功をつかむ!

縁があったからこそ健康分野に特化
健康という分野に進出されたのはなぜですか?

後藤社長: 大学を卒業してから、コンサルティング会社に就職しました。5年経ったら会社を辞めて何かをやろうと思っており、辞めるのが先で何をやるかは決めていませんでした(笑)。

 そのころ、店舗を持たずに、データベース分析を行い、商品を直接販売するダイレクトマーケティングが伸びると思っていました。実家が製薬会社で、健康食品も作っていましたので、健康食品をダイレクトマーケティングで売っていこうと考えました。

なるほど、もう少し詳しくスタートのころを教えてください。

後藤社長: 94年に勤めていたコンサルティング会社を辞め、実家の製薬会社に入社しました。バブルの後で景気がとっても悪いころでした。ちょうどWindows95がでて、小規模な会社でもパソコンを使ってビジネスが始められる環境になっていたものの、インターネットはまだまだ、ごく一部の人だけが知っているという程度の存在でした。その頃からインターネットに興味はあって、何か面白そうなことができるかもしれないと漠然とは思っていましたが、そんな状態ですから、その時点ではまだ具体的にインターネットを使ったビジネスは考えませんでした。実家の健康食品に『喜喜萬年(ききまんねん)』という味は変わっているが継続率が高い飲料がありました。ダイレクトマーケティングにちょうどいい商品だと思い、パソコンを使ってデータベースを作り、ダイレクトメールによる通信販売を開始しました。

売れなかったインターネット
その後、どのようなきっかけでインターネット通販専業になったのですか?

後藤社長: ダイレクトメールによる販売で、99年には売上が3億7000万円までいきました。

 そのころは、取り扱っていたのが2商品だけでしたが、次の商品を出そうにも、ネームバリューのない我々のような会社では、大手と同じ土俵の上で戦うのは難しく、このまま続けても4〜5億円が限界だと感じていました。

 そんなころに、アメリカで開かれたダイレクトマーケティングのカンファレンスに参加しました。99年でしたから、アメリカではちょうどインターネットを利用したeコマース花盛りで、eコマースの話ばかりでした。そこでの話に衝撃を受け、これからの日本も必ずeコマースの時代が来ると確信し、00年5月にケンコーコムの立ち上げを決めました。スタート時の取扱商品はたった50品目でした。

今では健康関連の分野では日本一のインターネット通販サイトとして知られていますが、当初は大変なこともあったのではありませんか?

後藤社長: アメリカから帰国し、インターネット通販を始めるぞと言ったときは、多くの人から反対されました。インターネットで成功しているところがないとか、取り扱う商品が増えたら顧客サービスが落ちるのではないかとか。でも、何とか始めることができたのですが、その後が大変でした。とにかく売上げを上げるために、集客をしようと積極的に宣伝しました。バナー広告です。広告に2000万円かけて、70万円しか売上がない、そんなこともありました。もう顔面蒼白でした。

それなのに「コレは、ダメだ」と思わずやってこれたのはなぜですか?

後藤社長: eコマースは必ずいけると確信していましたので、やり方がダメなだけだと思っていました。それに、失敗とはいえ、その中に1割ぐらいはうまくいっているものがあります。そのうまくいっているところを徹底的に分析し、糸口を探しました。

そこまで強く確信していたのはなぜですか?

後藤社長: アマゾンさんも最初苦労していたが、売上げを上げ続けていました。eコマースなら、競争力をつけさえすれば必ず成功への糸口があると感じていました。

諦めない!縁があるところにリソースがある
なるほど。健康分野へのこだわりはどこから来るものなのですか?

後藤社長: 私は良いか悪いかは別として、製薬会社に生まれました。それは縁があるこということだと思っています。縁があることは、自分に向いている。それにリソース(資源)があるので、リスクも少ない。その縁があるところで始めたのだから、人よりうまく行くはずだと思っています。これで、ダメなら何をやってもダメでしょう。

今後は、どのようにしていきたいですか?

後藤社長: 今取り扱っている商品は、5万7000品目以上ですが、まだまだ増やします。健康に関するものであればケンコーコムにくればすべての商品がある、というところまで拡充していきたいと思っています。普通の人が、健康の話題を出すときに、ケンコーコムの名前が出てくるようにしたいですね。

 今後もお客様に「ケンコーコムで買い物をしたい」と思っていただけるよう、サービス(品揃え、サイトの利便性、より求めやすい価格)を向上させ続けたいと思います。

http://www.kenko.com/
http://www.kenko.com/
ケンコーコムでは、国内健康食品、海外サプリメントなど5万7000品目以上の健康関連商品をを購入することができる。
自転車で通勤することも。名前で呼ばれる社長
スポーツジムに通うなど、自分の健康にも気を使っているという後藤社長。後編では社員の声も交えながら社長の素顔に迫ります。