社長
●平成2年横浜国大経営を卒業後、伊藤忠商事に入社。平成12年タリーズコーヒージャパンに転職し、13年取締役、14年常務。店舗開発・FCビジネスを統括し、5年間で200店舗を超える開発に携わった。今年6月に現職のコールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン株式会社社長に就任。11月3日、六本木ヒルズに1号店をオープン。
コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパンwebサイト:
http://www.coldstonecreamery.co.jp/
ひょうきん族と吉本新喜劇が原点!?
- 小学生のころはどんな子どもだったのですか?
石原社長: 先生の言うことも守る、いたってまじめな子どもだったと思います。私の通っていた小学校には、各クラスの代表が集まって作る議長団というのがあったのですが、それにも選ばれていました。
ただ、人を楽しませることは大好きで、小学生の頃から劇などの「出し物」などでは燃えましたし、それがクラスやチーム対抗戦などになると絶対に勝ちたいと思う負けん気の強さもありました。
- そのころの夢は何でしたか?
石原社長: 6年生の時書いた将来の夢が「社長」でした。中学、高校のころはフジテレビのディレクターになりたいと本気で考えていました(笑)。
- ディレクターですか?なぜフジテレビなのですか?
石原社長: 私が中学生のころは、フジテレビのひょうきん族の全盛期で、こんなにおもしろいものを作って、世の中に提供できるのはすごいな、自分もそんな仕事をしたいな、と真剣に思ったんですよ。
- 人を楽しませることが好き、そしてお笑いも好きだったのですね。
石原社長: 小学生の頃は、土曜日学校が終わるとどうしても吉本新喜劇が見たいので、走って帰っていました。それぐらいお笑いが好きでした。
- それがなぜ、違う道を選んだのですか?
石原社長: 考えが変わったのは大学生の頃ですね。私は出身が島根県の出雲なのですが、田舎から大学に入ると、周りには全国から集まった優秀な人間がいるわけです。そして、冷静に周りを見渡して考えると「無理だ」と思ったんです。今から思えば、本気でディレクターという仕事をやりたかったのか分かりません。
- 職種は違いますが、子どもの頃の「人を笑わせたい、楽しませたい」という思いは、今の仕事にも通じるものがあるのではないですか?
石原社長: どうでしょう。でも、私が目指しているのは、行くだけで楽しくなる、元気がもらえるお店ですから、ひょうきん族や吉本新喜劇と共通するところはあるかもしれませんね。(笑)
- 六本木ヒルズのお店に寄らせていただいた時、店員さんがアイスを混ぜるヘラを石にたたいて調子をとりながら歌っていました。本当に楽しいお店ですよね。
石原社長: ありがとうございます。
- 私の後ろに並んでいた女の子も本当にうれしそうにその様子を眺めていました。
石原社長: そういうお話をお聞きすると、私もうれしくなります。人間の欲求の中で「食」は一番最初に来るものです。しかし、豊かな日本では食べるものは有り余っていて、おいしいものもたくさんあり、お客様は好きなものを選ぶことができます。だからこそ、飲食店には付加価値が必要であり、私たちはおいしさと共に、エンターテイメント性を提供したいと考えています。
- なるほど。ところで、店員さんはどんなときに歌われるのですか?いつも歌ってらっしゃるわけではないようですが。
石原社長: うーん、秘密です(笑)。というより、私も知らないんです。お店の子たちが今日はこういうときに歌おうと決めたり、お店の雰囲気を見てクルー(店員)のだれかが歌い始めたりしているようです。アメリカでは、チップをいただくと歌うようになっているのですが、日本にはチップ制がありませんから。ただ、日本でもチップ箱は置かせていただいております。実は結構チップも頂戴しておりまして、もちろんその時には歌っています。
- 石原社長は、サラリーマンを経験した後、社長になられました。サラリーマンが成功する秘訣とは何だとお考えですか?
石原社長: 成功したとは思っていませんが、「絶対にあきらめない」が信条です。あきらめず真摯(しんし)に努力すれば協力者が出てくる。すると、達成に近づくと思います。
タリーズ時代には、店舗開発に携わりましたが、同じコーヒーチェーンのライバルも多く、目をつけたビルのオーナーさんからなかなかよい返事をいただけませんでした。しかし、コーヒーの味には自信がありましたから、ポットにコーヒーを入れて持っていったり、オーナーさんの自宅前の掃除をしたり、できる限りの努力をしました。その結果、「お前になら任せてみよう」と言われたこともあります。
そういう経験を通して、あきらめずに努力し続けることの大切さを学びました。大変かもしれませんが、努力のあとの達成感、喜びはひとしおです。
- 石原社長は、とっても優しそうな雰囲気のいい方だった。いろいろな雑談を交えてのインタビューだったが、終了後すぐに「勉強になりました」とメールが来た。トップになる方、何かを成し遂げる方は、低姿勢でその中にも信念があるもの。石原社長もまさにその通りの方だった。こんな素敵な方がトップを務める会社であれば、今後もすばらしいお店を作ってくれる事だろう。コールド・ストーンの日本展開はまだまだ始まったばかり。これからに期待したい。 (インタビュアー:まぐまぐ 野田宜成)