明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン株式会社
社長
石原一裕

●平成2年横浜国大経営を卒業後、伊藤忠商事に入社。平成12年タリーズコーヒージャパンに転職し、13年取締役、14年常務。店舗開発・FCビジネスを統括し、5年間で200店舗を超える開発に携わった。今年6月に現職のコールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン株式会社社長に就任。11月3日、六本木ヒルズに1号店をオープン。
コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパンwebサイト:
http://www.coldstonecreamery.co.jp/

第2回 前編

食のエンターテイメントを目指す!

元気を提供できるエンターテイメントアイスクリームチェーンを目指す
1号店はとても繁盛しているようですが、どんな状況ですか?

石原社長: おかげさまで、予想を超えるお客様に来ていただいています。当初は1日500〜600人の予想でしたが、1000人を超える方に来ていただき、1時間以上もお待たせすることがあって申し訳なく思っています。

1000人とはすごいですね。アイスといえば夏なのに、どうして冬にオープンしたのですか?

石原社長: 最近はいい意味で季節性はなくなっているので、あまり季節は気にしておりませんでした。ほかのチェーンの数字などを見ても、12月などは年間でも売り上げが高い月です。今年5月に会社を設立して、11月が一号店になったということです。 冬場にスローなスタートであればその間にいろいろと改善をして、春から更に上を目指すことも考えていました。

しかし予想に反して、オープン当初から嬉しい悲鳴があがるほどのお客さまの入りだったわけですね。

石原社長: はい、嬉しい限りです。しかし、きちんと商品をご提供していきたいですし、今後着実に色々な面で改善を図ってまいりますが、予想を超えるお客様にご来店いただいておりますので、どうしてもお待たせしてしまっております。本当に申し訳なく思います。

店員選びはオーディションで!
アメリカでは店舗数が1200を超えるほどに成長していると聞きます。理由はどんなところにあるのですか?

石原社長: コールド・ストーンは、17年前にサザーランド夫妻が始めたものですが、2000年には100店舗に、今では1200店舗にまで成長しました。これがなしえた理由は、おいしさはもちろんのことですが、仕組みと楽しさの掛け算だと思います。店舗を増やす仕組みはもちろん必要ですし、それ以上にお客様が喜んでいただく楽しさが必要だと思います。

そんな楽しさを提供するお店ですが、オープンにあたり大変だったことは何ですか?

石原社長: やはり、クルー(お店のアルバイト)を集めることですかね。楽しさを提供するにはクルーがすべてです。我々のお店はエンターテイメントビジネスであると考えていますから、時給のためだけに働いて欲しくない。だから、どのようにして良い人を集めるかを悩みました。

1号店目のお店の人はとっても良い人ばかりがそろったと思いますが、どのように選ばれたのですか?

石原社長: オープン1ヶ月前から募集をし、オーディションをしました。

えっ?面接ではなくて?オーディション?

石原社長: はい。普通の面接ではなく、オーディションです。最初は履歴書も見ませんでした。5人程度のグループに分かれてもらい、替え歌を作り発表してもらったり、擬似アイスクリーム屋を作って接客してもらったり、演技や歌のオーディションといったところです。

なるほど、結果はどうでした。

石原社長: 150名の方に応募いただいたのですが、とってもいい人たちが集まりました。面接ではなく、オーディションにしたことにより、人となりがよく分かりました。採用は、1店舗分の15名しかできなかったのですが、他の人たちも採用したい人ばかりでした

商社マンから飲食業界に転職
元々は、伊藤忠さんの社員だったそうですが、転職のきっかけはどんなことでしたか?

石原社長: 伊藤忠さんには10年お世話になりました。元々、10年経ったら自分でビジネスをしようと決めていましたので、10年目に大きな仕事を成し遂げたので、退職を決意しました。

伊藤忠さんの後はタリーズさんにいらっしゃったようですが、どのようなきっかけですか?

石原社長: 伊藤忠では主に食料部門で、最後にエビアンの仕事を担当していました。その際、エビアンをノースウエスト航空に使っていただいたのがご縁で、当時のノースウエスト社の幹部の方とお話ししていると、機内のコーヒーをより高品質のものにしたいという話になり、タリーズというシアトル発のおいしいコーヒー店が日本で展開をし始めているという話を聞きました。調子のいい私は交渉に行ってきますと言ってしまったんです。その後、会社の先輩のツテをたどり、タリーズの松田社長に会いに行きました。

 そうしたら、商品話でなく、私を売り込むはめになってしまいしました(笑)

どうしてですか?

石原社長: 松田社長に会って一目で惚れてしまったんですよ(笑)。何かしようと思っていましたし、もう伊藤忠を辞めようと思っていたときだったので、是非私を採用してくれと、売り込みの日々でしたね。

その後、すぐに入社されたのですか?

石原社長: いや、その当時のタリーズはまだ4店舗程を展開している小さな会社でしたから、給料払えないと断られました。それでも、入社したくて、連絡をし続けました。意気込みを見せようと、フランス出張中にも電話をかけました。「そこまで言うなら」ということで給料は1/3程度になりましたが入社できることになりました。

五感で楽しめるお店を作りたい
5年間タリーズさんにおられた後に今回のコールド・ストーンさん。移られたきっかけは?

石原社長: もともと、飲食の業界では、コールド・ストーンの日本での経営権をどこがとるか話題になっていたんですよ。現在、会長を勤めている澤田が、アメリカのコールド・ストーンのトップ、ダグ・デューシーと共通の友人を介し知り合い意気投合し、日本法人を一緒に立ち上げることになった。澤田は、元々伊藤忠時代の先輩であり、その後も関係を続けていましたが、今回の新規事業の立ち上げに関して話をするうちにお互いの目標が一致して、転職を決めました。

愛着がおありだというタリーズさんからの転職は迷われたと思うのですが?

石原社長: はい、迷いました。しかし、1店舗目を作るということ、つまりゼロから何かを作り上げたいという思いが勝りました。また、トップとして経営に携わりたいという強い思いもありました。松田社長にはわがままを聞いていただいて心から感謝しています。

今後、コールド・ストーンをどのようにしていきたいですか?

石原社長: まずは、一号店の六本木ヒルズ店をきちんと成功させたい。その後は、おいしい商品をご提供することは当然ですが、五感で楽しめるエンターテイメント性のあるお店をひとつひとつ大切に作って行きたいと思います。単に店舗数を伸ばすのではなく、お客様からの評価(体験価値)でNO.1をいただけるようなお店を作っていきたいですね。

ひょうきん族と吉本新喜劇が原点!?
「楽しめる飲食」「エンターテイメント飲食」にこだわる石原社長。後編ではその原点である幼少期に迫ります。