明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社プロジェクトニッポン 代表取締役社長
松谷卓也

●松谷卓也(まつたにたくや)1967年兵庫県出身。立命館大学卒業後、リクルートに入社。03年12月経済産業省から起業家輩出支援事業「ドリームゲートプロジェクト」を受託、事業責任者として立ち上げを担当する。04年、リクルート社退社、株式会社プロジェクトニッポン設立、代表取締役就任。

第47回 後編

まずは目の前のことに一生懸命に

物事には全てノウハウ、ロジックがある
起業家を目指す人の中には、自分の才能だけを頼りに、周りの意見には耳も貸さないタイプの人もいますよね。

松谷社長:ビジネスはプロの世界です。起業というのはそのプロの世界にアマチュアが入り、すぐにプロにならなければいけないということです。であれば、それに見合った準備が必要でしょう。物事には全てノウハウ、ロジックがあります。それを身につけるためにはトレーニングが必要です。

また、起業というのは組織を作ることでもあります。であれば、責任も発生する。プロとしてのサービス、マネージメントが求められるのです。

ですので、起業し大きなことを成し遂げるためにはコツ、ノウハウ、情報をインプットすることが欠かせません。

なるほど。そのために成功者に学ぶのですね。

松谷社長:はい。私はそれを「知恵の循環」と呼んでいます。先を進んでいる人こそ、人に道しるべを示し、指南することができるのです。

それを知らなくても成功できるかもしれませんし、知っていても成功できないかもしれません。ただ、「成功の確度」を高めることにはつながりますし、知らなくて損をすることも多いのです。

目指すは思いやりのあるプロ集団
企業のトップとして心がけていらっしゃることは?

松谷社長:会社(カンパニー)とは、パンを食べる仲間という意味の造語ということもあり、当社ではいつも“カンパニー”を合言葉に、仲間の組織としての成長を目指しています。そうした組織を作るためにも、ビジョンやミッションを明確にすることを心がけています。

逆に社員の方に求めること、一般の社会人として必要なことはなんだと思われますか?

松谷社長:プロフェッショナルとして個人が責任をはっきりと自覚することです。まずは、プロとして与えられている仕事をしっかりとこなす。そうでないと、どこに行ってもうまくいきません。それに、目の前のことをちゃんとやり結果を出すことができれば自信にもつながります。

その上で、気遣いや思いやりを大切にしてもらいたいですね。そうすれば、会社は思いやりのあるプロの集団になります。

なぜ思いやりが大切なのでしょう?

松谷社長:仕事は決して1人ではできません。チームワークが必要です。そこに思いやりがないとぎすぎすしてしまいます。

成長に必要なのは良質のインプットとアウトプット
ご自身は自分を成長させるために何か心がけていることはありますか?

松谷社長:良質なインプットの吸収を心がけています。具体的には、経営者など人と会うことです。自分の目で見て感じる、一次情報をインプットするわけです。

しかし、ただインプットを増やすだけではありません。そのインプットを元に仮説を立てるトレーニングが必要です。つまりアウトプットです。

その際、どのようなことを心がければいいのでしょうか。

松谷社長:目的をはっきりとさせることです。例えば「ビジネスに活かす」や「こういう人になりたい」というイメージを明確にするということです。

例えば私が社会人1年生のときは、「経営者に食事に誘われる人になりたい」と思っていました。そのためには、面白いやつだと思ってもらわなくてはいけません。だから、会社経営者の情報を収集し、先方の思いもつかないようなビジネスアイデアを1つ提案しようと心がけていました。

最後に読者にアドバイスをお願いします。

松谷社長:昔、学校の先生に「小さいことを判断するときは慎重に、大きなことを判断するときは慎重になり過ぎない」といわれたことがあります。今を一生懸命生きていれば、いつかチャンスが訪れる、チャンスだと思ったら即行動しろということだと理解しています。今を一生懸命努力し、慎重な判断を重ねていけば、自然と大きな転機を迎えるでしょう。そのとき、迷うようならそもそも大きな決断などするべきではないのだと思います。

編集を終えて
日本の起業家を「支援」ではなく「応援」したいと語る松谷社長。自身も大企業でのサラリーマン時代を経て起業を経験しただけに、その言葉には重みを感じる。その松谷社長率いるプロジェクトニッポン、およびドリームゲートをきっかけに、日本でも勢いのある起業家がもっと誕生することを期待したい。