明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社jig.jp
代表取締役社長
福野泰介

●福野泰介(ふくのたいすけ)1978年石川県出身。99年、福井高専を卒業後、00年に高専時代の先輩に誘われ有限会社シャフトの取締役に就任。翌年、有限会社ユーエヌアイ研究所を設立。03年に株式会社jig.jpを設立、代表取締役社長兼開発責任者に就任。同社の携帯電話向けフルブラウザ「jigブラウザ」は高い評価を得ている。

第39回 後編

福井・鯖江市をシリコンバレーに

多岐にわたるユーザーのニーズにどうこたえる?
今後の御社の事業展開についてお聞かせください。

福野社長:ユーザーがしたいことを実現できるものを開発していきたいと思います。例えば、PCではタブ機能は当たり前のことになっていますが、携帯電話では別ウインドウで開くということもできませんよね。そういった、ユーザーのニーズの高いものは実現していきたいです。

とはいえ、ユーザーのニーズは多岐に渡ります。それを全て実現することは不可能でしょう。そうであれば、ユーザーが好きなように作っていけるオープンな環境を作ることも大切です。

現在、福井県の鯖江市にお住まいで、そこをシリコンバレーにしたいとおっしゃっていますが、鯖江市には思い入れが強いのですか?

福野社長:子供時代、引越しが多く、鯖江というところは高専に入って初めてちゃんと友達ができた場所でした。ですので、その高専とのつながりは大切にしたいと考えています。

また、鯖江市は人口6万人程度の市ですが、IT関連をはじめ多くの有能な方を輩出しています。また、メガネに代表されるモノづくりの拠点でもあります。私はモノづくりの究極の形がプログラミングではないかと思っていますので、鯖江市というのは、その拠点としてなかなかいい場所ではないかなと思っています。

また、高専でも学生の起業支援が始まっています。才能ある人が私の会社で一緒に働いてくれるのもいいですし、別に会社を立ち上げて提携して何かを作るのもいい。組み合わせで新しいものが生まれるのではないでしょうか。

会社は自己実現の場
実際にアメリカのシリコンバレーに行かれたことは?

福野社長:「鯖江市をシリコンバレーに」と言っていながら、長い間本物のシリコンバレーには行ったことがなかったのですが、この前、行ってきました。そこでは、日本人だから、日本の企業だからと特別扱いされることもありませんでした。ですので、日本人も堂々と世界に挑戦すればよいと思います。

社長として心がけていらっしゃることはなんですか?

福野社長:まずは「みんな元気に」です。

そして、会社がそこに関わっている人間の自己実現の場になってほしいと思います。

社員にはどのようなことを求められていますか?

福野社長:夢を持ってほしいですね。そして、それをかなえるための努力とかなえようとする気合を持ち続けてほしいです。

プログラミングなど専門的なことになると、どうしても「生まれ持っての才能では…」と思ってしまうのですが。

福野社長:「才能」という言葉は、諦めのための口実ではないでしょうか。私も、最初からプログラミングができたわけではありません。小学3年のころからコツコツとやってきましたので、「継続は力」ということなのでしょう。やりたいことがあって、それに向けて努力をすれば結果は伴うはずです。

座右の銘「修せざれば、現れず」の意味
最後に読者にアドバイスをお願いします。

福野社長:私は「修せざれば、現れず」を座右の銘としています。簡単にいえば、「物は試し、やってみないとわからない」ということです。何かに迷っているのであれば、後からやらなかったことを後悔するより、やって失敗するほうがいいのではないかと思います。たとえ失敗しても、リカバリーはききます。そして何事にも、自分が納得した上で進めている人には強みがあります。やりたいことを目指して、後悔しない選択をしてください。

編集を終えて
ベンチャー企業の社長として、注目を集める今でも開発者、モノづくりのプロとしてのこだわりを忘れない福野社長。今後もディバイスにこだわらず、新しいサービスの開発に力を入れていきたいという。「jig.jp」という社名の通り、軽快な「日本発」の新しいサービスで、世の中をさらに便利にしていくことを期待したい。