明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

デジタルハリウッド株式会社
代表取締役社長
藤本真佐

●藤本真佐(ふじもとしんすけ)1967年千葉県出身。青山学院大学経営学部在学中、マーケティング会社を設立。その後、デジタルハリウッド設立に参画。94年、株式会社アイ・エム・ジェイを創業、社長に就任。99年、兼業で株式会社ツタヤオンラインを設立し、社長に就任。02年デジタルハリウッドに復帰し、社長兼CEOに就任、現在に至る。YEO(青年起業家機構、現EOジャパン)日本支部第9期会長などを歴任。

第31回 後編

学校は優秀なコーチであるべき

好きなこと、得意な分野に固執しない
仕事をする上で心がけてらっしゃることは何ですか?

藤本社長: 自分の好きなことや得意な分野だけに固執せずに視野を広げることです。

小さいころからこれだと1つ決めて、それを突き詰めるのもいいことです。でも、中途半端に「自分はこれが好きだ」とこだわるのは、ただ視野を狭めているだけだと思います。思い込みや決め付けで自分の能力を制限している場合が多くあります。そのまま小さな世界に閉じこもらず、自分の殻を破ってほしいですね。

デジタルハリウッドで学ぶ学生さんには何を期待されますか?

藤本社長: 多種多様な目的を持っていますので一概には言えない部分もありますが、共通するのは夢を諦めないこと、何でもできると信じることです。ITを1つの道具として使いこなし、自己実現を果たしてほしいですね。あとは、時代の少し先を行くこと。そこにチャンスがあることに気づいてほしいと思います。

生徒をほめて応援する
「学校嫌い」とおっしゃっていましたが、藤本社長にとって学校や教育というのはどういう存在なのでしょう。

藤本社長: いい環境を作って、生徒をほめて、頑張れと応援することだと思います。スポーツ選手を考えてみてください。優秀な選手には優秀なコーチがついていますよね。学校はそれと同じように、生徒にとっての優秀なコーチであるべきだと思います。

また、ただ知識を身につけたいのなら、本を読めば大体は事足ります。でも、人間というのは基本的に意思が弱く寂しがり屋なので、1人でやるのは難しいですよね?それを支えるのが教師であり、仲間ではないでしょうか。

そして、人脈を得られるというのも大きなメリットでしょう。何事も始めるのは1人でも可能ですが、それを大きくするのは1人では難しく、他人の協力が必要です。デジタルハリウッドには同じ目的を持つ人がたくさんいますので、それが人脈となり、自己実現に役立つはずです。

休日はどのようにお過ごしですか?

藤本社長: 趣味でよく釣りに行ってます。最近狩猟も始めました。ほかにもキャンプに行ったり、アウトドアが多いですね。

仕事とプライベートはきっちりと分けられるほうですか?

藤本社長: もちろん、休日に釣りをしながら仕事のことを考えているなんてことはないですが、帰ってきたらメールをチェックしたりはします。逆に仕事中にほかの事を考えることもありますよ。

要は長く続けるために、なるべく自分にとって楽な状態でいることが大切なのではないでしょうか。

子供のころはどんなお子さんでした?

藤本社長: 物作りは好きでしたね。あとは、人を驚かせたり、笑わせたりするのが好きでした。

「できない」ことに対する理由に甘んじない
小さいころからリーダーシップがあった方ですか?

藤本社長: 基本的にはなかったですよ。ただ、せっかちでした。バラバラまとまりがない様子を見ると、使命感からではなく「見てられない!」と思って、結局は仕切っていることがありますね。

それは大人になってからも変わらず、同窓生同士で、「そろそろ同窓会やりたいね」「そうだね。いつ頃がいいかな?」なんてやり取りがいつまでも続いていると、イライラしてきて「都合のいい日を書いて何日までに返事してください」なんてメールを送って、いつの間にか仕切っていたり(笑)。

最後に読者にアドバイスをお願いします。

藤本社長: 何かに迷っているのなら、1つでもいいのでまずは行動してみてください。例えば起業を考えているのなら事業計画書を作ってみる。頭で考えていることと現実は違います。まずは行動してみないと、何も変わりません。

また、転職を考えているのであれば、中途半端な状況ではなく、結果を残してから移ったほうがいいかもしれません。そのほうが自信がもてるでしょう。

「できない」ことに対する理由はいくらでも見つけることはできます。それに甘んじることなく、何か結果を残そうとすることを心がけてください。

編集を終えて
元々は学校もパソコンも嫌いだったという藤本社長。しかし、自分の好きにこだわらず、その可能性を感じ取り、事業として成功させた先見の明には驚かされる。4年制大学では、世界的に活躍できる人材育成を目指し、英語教育や留学支援に力を入れているという。今後のデジタルハリウッドの卒業生の、国内外での活躍を期待したい。