明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン
社長
香坂伸治

●香坂伸治(こうさか・しんじ)1961年、福岡県北九州市出身。駒澤大学卒業後、日本マクドナルド株式会社入社。99年に米国駐在員として、日本所有店舗の統括を担当した後、米マクドナルドに異動。06年に退職し、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンの代表取締役に就任。
クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンwebサイト http://www.krispykreme.jp/

第26回 後編

アメリカで学んだ家族の大切さ

会社で一番大切なのは「人」
前職から移られるときに迷いはありませんでしたか?

香坂社長: アメリカで約70年の間に培ってきた「クリスピー・クリーム・ドーナツ」というブランド力を信じていましたので、日本で展開しても成功するだろうという確信がありました。加えて、パートナーの方の支援も心強かったです。

会社を運営する上で最も大切なことは何でしょう。

香坂社長: やはり人です。人はそれぞれ可能性・潜在能力を持っています。それをいかに引き出すか。人を生かすも殺すもコミュニケーションだと思いますので、とにかく話すことを大切にしています。

そして、お客様です。お客様が第一であるという基本がぶれると、会社は成長できません。

最後に大事な事はお客様を含めてスタッフ・お取引の業者さん全てがクリスピー・クリームを通じてハッピーになるという事です。

1人きりでは何もできない
前職ではアメリカで勤務されていたそうですね。

香坂社長: はい。最初は日本マクドナルドの駐在員としてアメリカで勤務していました。その時は、現地の日本所有店舗の統括を担当していました。その後、米マクドナルドに移り、アメリカでの店舗オペレーションのノウハウを学びました。日本に帰国してからは、アメリカで学んだことを活かし、全店のオペレーションの標準化などを担当するプロジェクトリーダーとなりました。

店長としての経験とアメリカでオペレーションを学んだことで、自分で責任をとる仕事がしたいという思いが強まりましたし、いい経験だったと思います。

なるほど。KKDJの運営でも、アメリカで学んだことが活かされているわけですね。

香坂社長: そうですね。業務の効率化はもちろんですけど、従業員、人も同じくらい大切です。社長1人では会社は成り立ちません。チームワークが大切だと思います。チームワークで伸びていくような会社にしていきたいですね。

私もKKDJの社長に就任するとき、前職をやめることに迷いもありました。しかし、パートナーの支援が心強かったです。だれも1人きりでは何もできませんし、また周りにだれもいないということはありません。そのことを忘れないでほしいですね。

社員、アルバイトを含め、どういう人にKKDJに来てもらいたいですか?

香坂社長: やはり人間性です。前向きな気持ちを持っている方が望ましいですね。クリスピー・クリーム・ドーナツは美味しいドーナツを食べていただくだけでなく、つくる過程もお客さんの目に触れますので、そこも意識してもらいたいと思います。

家族の顔を見れば自然とリセット
小さいころはどんなお子さんでしたか?

香坂社長: う〜ん、平凡な子供でしたから、あまり覚えてないですね(笑)。ただ、朝から夜暗くなるまで遊んで、よく親に怒られてました。

そのころの夢は?

香坂社長: 漠然と野球選手にあこがれていた時期もありました。ちょうど王・長島世代で、長島選手が引退したのが中学2年のとき。涙を流しながらその様子を見ていました。

休日はちゃんととられてますか?

香坂社長: 最近、やっととれるようになりました。

どうすごされていますか?

香坂社長: 子供と遊ぶことを心がけています。忙しいので、週に1度ぐらいしか顔を合わせられませんので。

かなりお忙しそうですが、仕事とプライベートはきちんと分けられていますか?

香坂社長: 意識はしてませんね。私の場合、家族の顔を見るとリセットできるので。

それはうらやましいですね。

香坂社長: 何のために働いているのかと考えると、やっぱり家族のためなんですよ。家族のことを考えると、どんなことでもがんばろうという気になれます。そのことをアメリカで学びました。

アメリカに行ったばかりのころは、もちろん周りに日本人はいません。英語もなかなか通じない中、家族しか頼りにできませんでした。ですので、何をするにも家族と一緒でした。

また、日本では「家族を犠牲にしてでも…」という風潮がありますよね。でも、アメリカは家族との時間を大切にしたり、年に2回は休暇をとるのが習慣になっていますよ。そういう環境のお陰で、初めて家族の大切さを実感しました。それまでは私も、どちらかといえばワーカホリック気味でしたので。

自分が何をしたいのかを見極める
最後に読者にアドバイスをお願いします。

香坂社長: 明確な目標や信念をもてないとお悩みなら、周りの人と話をしてみてください。人間は決して1人ではありません。家族や友人など色々な人と話をして、きっかけをつかむことです。1人で閉じこもっていても答えは見つかりません。

また、目標や信念を持ちながらも、なかなか一歩を踏み出せない方には、自分に正直になって、自分が何をしたいのかを見極めてください。確かにリスクもあるでしょう。しかし、長い人生、自分がしたいことにチャレンジすべきです。

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編集を終えて
インタビューのために、新宿サザンテラス店にお伺いすると、お店に近づくにつれて甘いにおいが立ち込めた。お店の評判とそのにおいに誘われたのか、平日の昼間にも関わらず、お店は長蛇の列の大盛況だった。お話を伺いながら、香坂社長がクリスピー・クリーム・ドーナツの品質に絶対の自信をもってらっしゃることがよく分かった。今後、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンがどのような展開をしていくのか、しっかりと見守りたい。