明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社トレンダーズ
社長
経沢香保子

●経沢香保子(つねざわかほこ)1973年千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。その後、創業間もない楽天株式会社を経て、00年、26歳でトレンダーズ株式会社を設立し、女性起業塾を主宰。女性に特化したマーケティングやPR支援、女性の起業支援「女性起業塾」やキャリアアップ支援サービス「戦略キャリア塾」、転職支援サービス「トレンダーズキャリア」などを提供している。特に女性のキャリア支援は、毎月開催の「トレンダーズサロン」や無料カウンセリングなど行い、ネット上では日本初の女性限定SNS「Only1.be」を運営するなど、向上心溢れる女性の支援に全社をあげて力を入れている。
トレンダーズ(株)Webサイト http://www.trenders.co.jp/
女性起業塾 http://w-e.jp

第23回 前編

待っているだけでは何も始まらない

「女性」と「働く」をHAPPYに
まず事業内容をお聞かせください。

経沢社長: 「女性と働くをHAPPYにする」を企業理念に、女性の社会進出を応援しています。具体的には、女性の転職や起業のサポートです。また、女性をターゲットにした商品・サービスを展開している企業様向けには、働く女性、特にF1層(20〜34歳女性)を母集団にしたマーケティングリサーチや、プロモーションの支援を行っています。

昔から創業したい、社長になりたい、と考えられていたのですか?

経沢社長: 全然そんなことはなかったです。たまたま、前の会社を辞めて、「留学でもしようかな」と考えていたときに、いろいろな人から仕事を頼まれて、だんだんその量が増えてきたので、会社にしたほうが効率がいいだろうと思って会社を立ち上げました。なので、「結果として起業した」というのが正確なところです。

事業内容も、最初は「何屋になろう」というのは全く決まっていなくて、依頼を受けたのが女性関連の仕事が多かったので、それでいこうという感じで決めました。

なるほど。今ではトレンダーズは女性に特化した会社として、社長個人とともに、知名度もかなり高まりましたよね。

経沢社長: そうですね、おかげさまで。おそらく、女性と労働の問題は社会的にも注目されているからだろうと思い、その分責任を感じます。

大切なのは「自分を磨くこと」
とはいえ、他の企業では、認知度を高めるのがなかなか難しい場合もありますよね。

経沢社長: 何事も待っているだけでは始まりません。たくさん木のある樹海から、特徴のないたった1本の木を見つけるのは不可能に近いですよね。何もせずに待っていて、自分を見つけてくれというのは、そういう不可能に近いことを頼んでいるのと同じです。本当に探してほしいのであれば、そこまでどう行けばいいのか地図を作って配る。または、他の木が緑ばかりなら、赤い木になってみる。つまり、自分から積極的にアピールするのか、他と違って目立つ努力をしなければいけないと思います。

それは個人でも同じですね。

経沢社長: そうですね。自分を評価してもらいたいと思うなら、自分を磨くこと、そしてそれをうまくアピールしなければいけません。

「自分は会社で正しく評価されていない」と感じている人には3つのパターンがあると思います。1つ目は、求められていることを取り違えて、努力が空回りしてしまっているパターン。評価とは人からのものですから、何がニーズなのかを見極める必要があります。

2つ目は90点で満足してしまうパターン。100点以上の仕事をしている人と、90点の人とでは努力にそれほど大きな違いはないでしょう。しかし、ビジネスで評価されるのは、100点以上を出してやり遂げた人だけ。やり遂げるまでの「もうひと頑張り」が足りずに、「自分はこれだけ頑張った」と満足している人もいるのではないでしょうか。

3つ目は普段からのコミュニケーションが欠けている場合。特に長いスパンで見て評価するときは、日常の意思疎通がなければその人がどんな人なのか分からないでしょう。

世の中には自分を売り込むのが上手な人と下手な人がいますよね。

経沢社長: 私は「自分の売り込み方」を身に付けるよりも、実力や中身を磨くことのほうが大切だと思います。

年功序列はその会社での在籍年次を評価したものです。しかし今は多様化し、実力が重視されるようになりました。そのことをしっかりと認識し、自分を磨いてほしいですね。

女性の労働力を活性化することが不可欠
「女性起業塾」など女性の社会進出を支援する事業を行ってらっしゃいますが、日本の現状をどう捉えていらっしゃいますか?

経沢社長: よく言われることですが、日本には石油などの資源がない。ほこれる資源は人材だけです。その人材を活用するためには、女性の労働力を活性化することが不可欠です。多くの人がそのことに気づいていると思うのですが、それでもまだ日本は遅れていますよね。

社会制度も考え方も日本の女性の社会進出支援は遅れていますよね。

経沢社長: 制度はどうにでもなると思うんです。問題の根本はメンタリティかもしれません。

それは男性の?それとも女性の?

経沢社長: 両方かもしれません。男性にもこれからは家庭でも会社でも男女のパートナーシップが大事であることに慣れてほしいですし、女性にも両立する生き方をあきらめないでほしいです。それと一番大切なのはフレキシビリティ(柔軟性)だと思います。子供を生んでも働きたいなら働く、働くスタイルはさまざまでいい。個人が好きなようにできるのが一番です。

社長業は24時間営業
会社のトップとして忙しい日々を送っている経沢社長に、休日の過ごし方や、小さいころのお話、自分を成長させたいと考えている読者へのメッセージなどを伺いました。