明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

ソウエクスペリエンス
代表取締役社長
西村琢

●西村琢(にしむら・たく)1981年生まれ、04年慶應義塾大学経済学部卒業。在学中に株式投資クラブ「SYNC」の立ち上げや、松下電器主催ビジネスプランコンテストで勝ち抜くなどして注目を集める。05年5月にソウエクスペリエンスを設立し、代表取締役社長に就任。「モノ」ではなく「エクスペリエンス(経験)」をプレゼントするというコンセプトが好評を博している。
ウエクスペリエンス(株)Webサイト http://www.sowxp.co.jp/

第22回 後編

大切なのは「生き方をデザインすること」

仕事で大切なのは「徹底的に楽しむ」こと
今はお忙しいのではないですか?

西村社長: そうでもないですよ(笑)。できるだけ仕事を効率化しようと心がけているので、休みも結構とっています。

それに私の場合、あまり「ここまでは仕事、ここからはプライベート」という風に分けていません。週末に仕事関係のメールに返信することもよくありますし、平日の昼間からプールに行くことも。「公私混同」かもしれませんが、仕事に対するモチベーションを高く保ちつつ、やるべきことをきちんとこなしていればそれでもいいんじゃないかなと思っています。

仕事をする上で一番大切にしてらっしゃることは何ですか?

西村社長: 徹底的に楽しむことです。儲けは出てもぜんぜん楽しくない、というのでは意味がないんじゃないかなと思っています。私自身、面白いと思えることに出会いそれを仕事にしています。

300倍の競争率を勝ち抜きコンテストに優勝
楽しいことを見つけてもそれを仕事にできない人も多いですよね。

西村社長: いろいろ迷うよりも、とりあえずやってみるのが一番だと思います。やる前から「失敗したらどうしよう」などと考えるよりも、まず挑戦してみる。その後で、成功するにはどうしたらよいのかということに頭を使うべきだと思います。

ご自身は起業に対して迷いはなかったですか?

西村社長: 大学生のころは、一応就職活動もしていました。でも会社経営に対する興味は捨てきれず、松下電器が主催するビジネスコンテストに応募しました。

どういったコンテストだったんですか?

西村社長: もともとは松下電器の社内ベンチャーを支援する制度でしたが、それを社外、そして学生にまで対象を広げ、ビジネスプランを競い合って優勝したものが出資を受け会社を立ち上げることができるというものです。

そのコンテストに、競争率300倍の中、優勝されたと伺いましたが。

西村社長: 幸いなことに優勝することができました。しかし、すぐに起業というわけにはいきませんでした。本当ならビジネスプランが評価され優勝したのですから、すぐにでも会社を興せるはずなのですが、私の場合、大学卒業後に松下の契約社員のような形で約1年間、今後の事業展開について色々と考えました。ヴァージングループが「体験ギフト」事業を行っていることを知ったのもちょうどこのころです。それから、知人などに出資を募り、ソウエクスペリエンスを立ち上げました。

「やりたくてもなかなか手を出せない」ものもある
コンテストへの挑戦も「迷うより、とりあえずやってみる」の一環なんでしょうね。

西村社長: そうかもしれません。

ソウエクスペリエンスを通じて、なかなか試せなかったことを経験された方も多いと思いますが、ご自身にそういう「試せないこと」はありますか?

西村社長: 僕の場合はピアノですかね。子供のころ習っていたのですが、長い間離れていると色々忘れてしまっています。もう一度やってみたいと思いながらも、時間やお金の問題でなかなか手を出せない、こともあります。

同じようなことを思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか?そういう方にこそ、うちのサービスを利用していただきたいですね。

将来、こんなことをしたいなという「夢」はありますか?

西村社長: 言葉は的確ではないかもしれませんが「教育」に興味を持っています。マインド・チェンジ、つまり人の心、考え方を変えたいということです。今の世の中、何も考えなくても生まれてから死ぬまで何とかなる場合が多いですよね。そうではなくて、「自分にはもっと可能性がある」ということに気づき、行動を起こすきっかけになりたいと思っています。そのために学校を作ってみたいなとも思いますし、うちの会社を新しいことにチャレンジする人が次々生まれる社風にしたいとも思います。

今のサービスもそういうきっかけ作りの1つだと思っています。もし100万人がうちのサービスを利用すれば、100万人が新しいことに挑戦するきっかけを得たことになります。その中で、例えばキックボクシングを体験した人が、キックボクシングのインストラクターを目指すこともあるかもしれません。

なるほど。

西村社長: 皆さん、いろいろなことに挑戦してみたいとお思いでしょう。でも、経済的要因であったり、時間の問題だったり、何かしらの障壁があって、挑戦できない。そういうケースが多いと思います。そういう方にはこの「体験」のプレゼントがいいきっかけになるのではないでしょうか。ぜひ周りに「もっと新しいことに挑戦したほうがいいのに」という方がいらっしゃったら、うちのカタログをプレゼントしてみてください(笑)。

何もできない自分に違和感
小さいころはどんなお子さんでしたか?
サイトでは、カタログギフトに含まれる「エクスペリエンス」の内容を確認することもできる。

西村社長: 負けず嫌いでしたね。それと、目立った行動をとっていたというわけではないですが、人と同じなのはあまり好きではありませんでした。そのせいか、株を始めるまでは「自分にはもっと可能性があるはず。なのに何もできていない」という状況に違和感を感じていました。

私には株というきっかけがあったので新しいことに挑戦することができました。今後、できるだけ多くの人に私にとっての株と同じような、何かに挑戦するきっかけを提供できればと思います。

最後に読者にメッセージをお願いします。

西村社長: 先ほども言いましたが、まずは挑戦してみることを心がけてください。頭を使うのはその後です。それからデザインするという概念を大切にしてほしいです。

というと?

西村社長: うちはカタログのデザインなどに徹底的にこだわっているのですが、それと同じように、生き方も自分でデザインする。人生は様々な経験、つまりエクスペリエンスの組み合わせだと常日頃から思っているのですが、自分の生き方を自分で組み立てていき、人や社会と面白い関係性を構築していくということです。それを意識すれば、より楽しく、刺激と発見に満ち溢れた生き方ができると思います。

プログラムの数々
編集を終えて
24歳という若さで起業した西村社長。「自分が楽しいと思えることを仕事にした」とおっしゃるだけあり、話しぶりからも今まさに充実されているということが伝わってきた。これからも新しいことに積極的にチャレンジしていきたいという西村社長とソウエクスペリエンスの今後に期待したい。