明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

アルファグループ株式会社
代表取締役会長
吉岡伸一郎

●吉岡伸一郎(よしおかしんいちろう) 1970年、埼玉県生まれ。大学卒業後にプラスアルファを創業してセールスプロモーションとアジアビジネスに乗り出す。94年、アルファインターナショナルを創業して、その後、携帯電話事業や軽作業請負事業を展開。01年に社名をアルファグループに変更、オフィス用品販売サイト「カウネット」をスタートして、04年にジャスダックに上場を果たす。
アルファグループ(株)Webサイト http://www.alpha-grp.co.jp/

第21回 後編

失敗したくなければ人の2倍働け

バイトに打ち込んだ学生時代
幼いころは、どんなお子さんでしたか?

吉岡会長: 普通の子でしたよ。野球やってピッチャーで4番というわけではなく、さりげなくファーストにいるというタイプだったかな。

経営者になろうと思い始めたのは、いつごろですか?

吉岡会長: 中学生のころから、漠然と成功したいという思いがあったかもしれません。当時から、お寿司をカウンターで食べることに憧れていましたから(笑)。真剣に経営の道を考え始めたのは、大学受験で学部選択を迫られたとき。最初は法学部に入って弁護士を目指すことも考えましたが、司法試験にパスするのに5年も10年もかかるなら、会社を作って同じように努力したほうが成功に近づけるような気がしました。それから経営者になるためのアンテナを張って、チャンスをうかがうようになりました。

学生時代は何に打ち込んでいましたか?

吉岡会長: バイトです。ビジネスの勉強をしようと思って、知り合いの青年実業家のところでバイトしたり、あとは2年間、ホテルのウエイターのバイトもやっていました。ただ、そのホテルは、お客様に対して最大限の敬意を払う一方で、バイトに対しては「おまえら働け、このやろう!」という感じで高圧的でした。それを見て本当に理不尽さを感じましたね。無用なストレスは、いざというときのパフォーマンスを低下させます。自分が会社をやるなら、こんな雰囲気の会社にはしたくないなと思いました。

毎年が勝負の年だった
普段のスケジュールを教えてください。

吉岡会長: 朝7時に起きて、9時半ごろに出社。打ち合わせや会食があるきとは、夜中の2時くらいに帰宅です。睡眠は平均5〜6時間ですね。

睡眠5〜6時間だと、疲れが溜まりませんか?

吉岡会長: そうでもないですよ。昔は会社に寝泊りして、深夜の3時まで働いて、7時に起きてすぐ仕事、という毎日でしたから。

かなりハードな毎日でしたね。

吉岡会長: ビジネスって、何がうまくいくのか、わからないところがあるじゃないですか。でも、やってみてダメでした、赤字です、というのでは経営者失格。会社を継続させていくためには、複数の事業を同時に走らせて、万が一どこかで失敗しても別の事業できちんとリスクヘッジする必要があります。そうなると人の2倍、3倍働くのも当たり前だと思っていました。

とはいえ、なかなか簡単にできることではないですよね。

吉岡会長: 毎年、「今年が勝負の年だ!」と自分に言い聞かせてやっていました。でも、毎年、新しい目標ができて、「また今年も勝負の年…」という繰り返し。結局、会社が軌道に乗るまで5、6年は続きました。当時は若かったから平気でしたが、あれをもう1回やりなおせといわれたら、ちょっと遠慮したいですね(笑)。

「迷っている暇があるなら決断を」
週末はどのように過ごしていますか?

吉岡会長: 土曜日は相変わらず打ち合わせで潰れてしまいますが、最近はきちんと日曜にお休みをいただくようにしています。オフのときは、ゴルフにいったり、友人のクルーザーや別荘を借りて遊ぶことが多いですね。

ゴルフはお上手なのですか?

吉岡会長: いや、これがさっぱりで。月に2回くらいラウンドしていますが、そのわりに上達しないんです。レッスンプロをつけたほうがいいと言われるのですが、平日は仕事があるので無理だし、せっかくの日曜日にレッスンを受けるのも、なんか息が詰まるでしょう。リフレッシュするためにゴルフをやるのですから、スコアなんて気にしないで楽しくやるのが一番です。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

吉岡会長: 進路に迷ったら、できるだけ速い決断をするべきです。立ち止まって考えている間は何も始まらない。決断をして動き出してからが本当のスタートです。私は学生のときに起業しましたが、もし30歳になってから独立していたら、経営者として積んできた経験の重みも大きく違っていたと思います。自分が死ぬ気で頑張れることを見つけたら、躊躇している暇はありません。ぜひ全力で自分の人生を生きてもらいたいですね。

編集を終えて
ソフトな語り口が非常に印象的だった吉岡会長。一言一言、しっかりと言葉を選んで語る様子は、つねにリスクヘッジを考えて着実な成長を目指すという経営哲学にも通じるものがあった。モバイル事業、フィスサプライ事業、人材事業、IT事業の4つの事業の成長がとても楽しみだ。各事業ともさらに競争が激化することが予想されるが、吉岡会長ならきっと間違いない舵取りをするだろうという安心感がある。今後も注目したい経営者の一人だ。