明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

アルファグループ株式会社
代表取締役会長
吉岡伸一郎

●吉岡伸一郎(よしおかしんいちろう) 1970年、埼玉県生まれ。大学卒業後にプラスアルファを創業してセールスプロモーションとアジアビジネスに乗り出す。94年、アルファインターナショナルを創業して、その後、携帯電話事業や軽作業請負事業を展開。01年に社名をアルファグループに変更、オフィス用品販売サイト「カウネット」をスタートして、04年にジャスダックに上場を果たす。
アルファグループ(株)Webサイト http://www.alpha-grp.co.jp/

第21回 前編

経営とは考え続けること

ナンバーポータビリティは大きなチャンス
御社の業務内容を教えてください。

吉岡会長: アルファグループは、4つの事業分野で事業を展開しています。携帯電話の販売をはじめとしたモバイル事業、そしてオフィス用品通販の「カウネット」を主軸としたオフィスサプライ事業、軽作業や人材派遣を行う人材事業システム開発およびソフトウェア販売のIT事業です。それぞれの事業間のシナジー効果を活かしながら、各業界でナンバーワンもしくはオンリーワンのサービスを確立し、マーケット戦略のリーディングカンパニーになることを目指しています。

モバイルといえば、今年10月から「携帯電話番号ポータビリティ」が始まります。その影響はどうでしょうか?

吉岡会長: ナンバーポータビリティが始まれば、消費者の購買意欲が高まって、買い替えのサイクルが短くなることが予想されます。これまで3年に1回機種変更していた消費者が、2年に1回買い換えるようになれば、大きなビジネスチャンスですよね。とくに弊社は全キャリアを扱う併売店が中心なので、キャリア間の比較検討ができるという点で優位性があるはず。またキャリアショップについても、MTIの携帯電話販売部門を買収して、今年9月からauとボーダフォンの一次代理店を展開しています。今後も、ナンバーポータビリティに向けて手を打っていきたいですね。

競争の少ないところで勝負する
創業のきっかけを教えてください。

吉岡会長: 大学3年生の時から会社を経営していました。就職はまったく考えていませんでしたね。とびぬけて能力が高かったわけでもないので、もし大企業に就職できていても、その中で自分が埋もれてしまうのではないかという不安がありました。それならば、当時はまだ珍しかった学生ベンチャーで勝負したほうが、勝算があるように思えたんです。みんなと同じ道を進むのではなく、競争の少ないところで勝負をするというのが、僕の人生の成功のスキームでした。

学生ベンチャーのときはどんな事業を?

吉岡会長: セールスプロモーションを行なう一方で、世界にも目を向けてビジネスを展開しようと考えていました。まだ若かったので、夢は大きく、いずれは本社をニューヨークに置こうかというくらいの勢いでプランを練っていました(笑)。

具体的には、どんなビジネスを展開されていたのですか?

吉岡会長: いまはインターネットがブームですが、当時はアジアブームがちょうど始まったころ。そこでまず語学学校の運営を始めました。語学学校の運営なら、自分たちも語学が上達するだろうし、アジアでのネットワークもできる。世界で事業を展開するときにも大いに役立つだろうという目論見だったんです。ただ、投資家の資金を運用して行なった事業だったこともあり、自社が満足できる利益がなかなか出ませんでした。結局、5年でいったん断念して、もう一回、日本でしっかり稼いでからまた勝負しようという結論になりました。携帯電話事業に進出したのは、そのあとです。

一瞬のヒラメキは10時間の労働に匹敵
経営者として重視されているのはどんなことですか。

吉岡会長: ビジネスアイデアです。事業が順調にいっていると、「もうこれでいいや」といって現状に満足する経営者の方もいらっしゃるかもしれません。ただ、事業はいいときもあれば悪いときもあります。経営者は、どんなときも最大限のリスクヘッジをして、最大限のパフォーマンスを生めるようなビジネスアイデアを考え続けることが仕事だと思います。

どうすればアイデアが浮かんでくるのでしょう?

吉岡会長: 僕の場合は、もう頭が勝手に動き出します。この十数年、毎日のように死に物狂いで考え続けると、とくに意識しなくても、いつのまにか「これは永続的に成長できるビジネスモデルなのか」とか、「どうすればリスクヘッジできるのか」という思考になっているんです。

その境地に達するのは大変そうです。

吉岡会長: もうダメだというときに、何とかひっくり返してやろうと考え続けてきたからでしょう。事業がうまくいっているときに、さらにうまくいくアイデアを出すのは比較的簡単なんです。ただ、行き詰ったときに、あっさり考えることを諦めてしまう人が多いような気がします。簡単に答えが見つからなくても、何日でも何週間でも粘って考えてみる。この習慣をつければ、いずれは頭が勝手に動き出すようになるのではないでしょうか。

良いアイデアを生むために実行していることはありますか?

吉岡会長: いまはアイデアが浮かんだら、忘れないように携帯電話からPCに自分宛のメールを出して記録しています。じつは昔はメールがなかったので、アイデアを思いついたらその場でICレコーダーに録音していました。当時はバス通勤だったので、ぶつぶつ言っている僕を見て、他の乗客はドン引きでした(笑)。でも、一瞬のヒラメキは、10時間の労働に匹敵するくらいの価値があるもの。本気でビジネスをやっていたので、周囲の視線は気にならなかったですね。

失敗したくなければ人の2倍働け
1日18時間労働が普通だったという創業期のお話や、オフのリラックス法について、吉岡会長にお話をお伺いしました。