明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社マネックス証券
社長CEO
松本大

●松本大(まつもとおおき)1963年生まれ。87年、東京大学法学部を卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券に入社。90年にゴールドマン・サックス証券に転職し、94年には史上最年少でゼネラル・パートナーに就任する。99年に、日本の金融業界に一石を投じるべく株式会社マネックスを設立、現職に至る。
マネックス証券(株)Webページ http://www.monex.co.jp/

第16回 後編

好きな仕事を探すより、
目の前の仕事を好きになれ

自分のやりたいことができるように会社をデザイン
オンとオフの切り替えは、どうされているのですか?

松本社長: とくに意識して切り替えることはありません。もともと仕事している自分と、個人としての自分を明確に分けていないんです。

というのは?

松本社長: 当社は上場企業ですから利益を追求します。ただ、それだけではなく、同時に日本の資本主義を良くしたいという理念も掲げています。サラリーマンだと、こうした会社の理念と、自分のやりたいことにズレが生じることがありますが、私の場合、会社の仕事を一生懸命やれば、それが自分のやりたいことになるように、最初から会社をデザインしてしまった。そのおかげで、仕事とプライベートを無理に切り替える必要がないのです。

疲れたときのリフレッシュ法があれば教えてください。

松本社長: 駅前サウナに、よく行きます。仮眠室はけっして静かではないのですが、雑音がホワイトノイズになって、かえってよく眠れます。体が疲れたときは、毎週のように行っていましたよ。

食事やお酒は仕事の延長線上
社長のブログ(http://ameblo.jp/monex-oki/)を拝見すると、お食事やお酒を楽しむシーンがよく出てきます。いじわるな質問ですが、あれはお仕事でしょうか、プライベートでしょうか?

松本社長: はは、基本的には仕事の延長線上です。食べ物や音楽というのは、“ながら”ができるんです。美味しいものを食べたり、心地よい音楽を聴きながらでも、仕事の話はできますからね。

お酒は相当飲まれるそうですが、何か気をつけていることはありますか?

松本社長: 夜はかなりの量を飲み食いするので、朝はごはんに焼き海苔、緑茶だけ。昼もお蕎麦にして、カロリーを摂り過ぎないようにしています。また2年前から、毎朝、腕立て・腹筋・背筋・逆立ち・空気椅子をやっています。

健康には気を遣っていらっしゃるほうですか?

松本社長: そうかもしれませんね。じつは気の合わない人とは、たとえ仕事でも食事しないことにしているんです。楽しくない人と食事することほど、健康に悪いことはありませんから(笑)。

とはいえ、社長という立場だと、気の合わない人とお話ししなくてはいない機会もありますよね?

松本社長: そんなときは食事なしでミーティングにしてしまいます。それならストレスも溜まりません(笑)。

自分から仕事を楽しめばストレス知らずに!
仕事の取り組み方について、何か気をつけていることはありますか?

松本社長: 飛行機の機内放送で桂枝雀さんの落語を聞いたとき、こんなことを言っていました。「お客さん、これから私が面白いことを言うと思っているでしょう。違うんですよ。落語は面白いから笑うんじゃなくて、笑うから面白いんです。さ、笑って」と。これはけだし名言で、仕事にも同じことがいえると思います。

どういうことでしょう?

松本社長: 楽しいことを探すよりも、いまやっていることを楽しむほうが、はるかに簡単で楽にできます。目の前の仕事を好きになればストレスも感じないし、ストレスがなければ免疫力が高まり、元気に仕事に取り組んで成果も上げられる。まさに好循環です。

このサイクルが逆になっている人も多そうです。

松本社長: 仕事を楽しめないと、ストレスを感じて免疫力が下がり、体調を崩して仕事がはかどらず、さらにストレスを感じるようになります。仕事がつまらないと嘆いていても仕方がありません。読者の皆さんにも、まずは自分から仕事を楽しむ姿勢を大事にしていただきたいですね。

編集を終えて
仕事量はサラリーマン時代の数倍になったという松本社長だが、疲れた様子はまったくなし。実際に健康診断を受けても、昔に比べてさまざまな数値が向上して、血液もサラサラだとか。「いまは仕事で自分のやりたいことができているから」と、好調の理由を語っていたが、その表情からも現在の充実ぶりを見て取れる。今後も松本社長の活躍に大いに期待したい。