明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社ネクシィーズ
代表取締役社長
近藤太香巳

●近藤太香巳(こんどう・たかみ)1967年大阪府生まれ。87年にネクシィーズの前身日本電機通信を設立。それまで高額で一括購入が必要だった電話加入権をクレジットで分割購入できる「テルミーシステム」を考案。00年、社名をネクシィーズに変更し、「ヤフーBB」販売などを手掛け業績を拡大させ、02年にはナスダックジャパン(現ヘラクレス)に上場。04年には創業社長としては当時最年少の37歳で東証一部上場を果たす。
(株)ネクシィーズWebサイトhttp://www.nexyz.co.jp/

第15回 後編

「今」の連続が未来を作る

自分が学んだことを若者に伝えたい
近藤社長は社長業のほかにも、講演を積極的にされていますね。

近藤社長: 頼まれて講演に行くこともありますが、大学やドリームゲート(経済産業省が後援する起業・独立支援サービス)など若者向けの講演は全てボランティアでやっています。

なぜ若者向けの講演を?

近藤社長: 根底には若者が好きだ、ということがあります。それに私は今でこそ社長をやっていますが、別に東大を出たわけでもMBAを取ったわけでもない。高校も辞めて本当に夢がない状況からここまで来たわけです。だからこそ若者に勇気を与えられると思うんですよ。私は約20年、社長をやっています。その中でたくさん学んだこと、思ったことがあります。それを今の若者に伝えたい。それが自分の社会人としての役目だと思っています。

社会に出ることは面白い!
最近の若者と接せられてどう思われますか?

近藤社長: いつの時代も、「いまどきの若者は…」と否定的に語られることが多いですが、ベンチャーやアントレプレナーなどという言葉も浸透し、今の若者は非常に恵まれていると思います。ただ、自分のときと比べて、情報が多すぎるためか、考えすぎて動けないという傾向はあるのかもしれません。でも、動きながら考えたほうが自分の視野は広がり、やるべきことが見えてくるものです。

おっしゃるように考えすぎてなかなか決断ができない人も多いですよね。

近藤社長: まずは行動してみることです。考えすぎて社会に出ることを恐れず、社会に出てからの方が学生時代よりも面白い、ということを知って欲しいですね。

具体的にはどの辺が面白いのでしょうか。

近藤社長: 学生の頃は、極端な例で言うと、成績が1位でも1000位でも基準を満たしていれば卒業式には出られる。だから1000位でいい、というわけではないですが、卒業ということを目標にすれば、目標は達成できます。でも社会では、学生のころ1位だったA君が怠けて、1000位だったB君がこのままではまずいと思って頑張ったとします。10年後、B君は大きく成長していることでしょう。社会とは頑張れば頑張るだけ、その結果が如実に現れるものなのです。学生時代の成長は知識を詰め込む足し算、社会人になると仕組みが変わる。成長の仕方すら自ら作ることが出来る。つまり掛け算で成長できるんですよ。だから「今の自分はこんなだから…」とあきらめるのではなく、まず社会にでて頑張ること。そうすればおのずと結果は出るはずです。

最初から大きな夢を持つ必要はない
最後に読者にアドバイスをお願いします。

近藤社長: いつか頑張ろうと思っているなら、今頑張ったほうがいい。未来は誰にも分らないけど、今が連続して未来になります。だから今、この瞬間から本気になって頑張れば、何かが待っているはず。私が高校を中退して営業の仕事を始めたころ、友人に営業成績でトップになったことを自慢したんです。するとその友人に、「お前、睡眠時間3時間だろ。そんなこと一生続けられるのか?」と言われました。そう言われて、「一生はできないな…」と一瞬ひるみかけました(笑)。でも、「じゃあ、今やめて俺に何がある?今、せっかくトップになったのだから頑張るしかない」と思ったんですよ。

私は「最初から大きな夢を持つ必要はない」とよく若者に言います。例えば私の場合は、営業でトップになるという希望を持ち、努力し続けました。希望を持ち続けていれば、それが大きな夢の実現につながるのです。だから、今を大事にして一生懸命生きる、それに尽きますね。

編集を終えて
「今、努力することの大切さ」を語ってくださった近藤社長。数々のピンチを乗り越えてこられたご自信の体験に基づいたものだけに、言葉の1つ1つが非常に説得力のあるものだった。近藤社長、そしてネクシィーズの活躍とともに、その言葉に触れた若者の中から、近藤社長に続く人材が生まれることにも期待したい。