明日の仕事にきく。読めば俄然やる気になる ビジネスキーパーソンwebインタビュー

株式会社リンクアンドモチベーション
代表取締役社長
小笹芳央

●小笹芳央(おざさ・よしひさ)株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役社長。1961年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。人材部人材開発課長、大手町営業所長、組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員など歴任。00年リンクアンドモチベーション設立。
(株)リンクアンドモチベーションwebサイト:http://www.lmi.ne.jp

第7回 後編

自分を高く売る方法とは?

まずは周りから信頼される人間になる
小笹社長は、モチベーションを軸に人材の専門家として、個人のキャリア支援もされていますが、キャリアを上げていくにはどうしたらよいか教えてください。

小笹社長: 自分の市場価値を高めることがキャリアアップにつながると思います。

その市場価値を高めるにはどうしたら良いのでしょうか?

小笹社長: まずは周りの人から信頼される人間になること。そして、「対極の筋力」を鍛えることです。

具体的にはどういうことでしょうか。

小笹社長: 1つ目の信頼というのは、短期間にたくさん約束をして、それを確実に実行することで高められます。

小笹社長はどうされたのですか?

小笹社長: 実は私は入社当時、大変な遅刻魔だったんですよ。入社式にも大幅に遅刻して、人事部長に回し蹴りされました(笑)。朝がとっても弱かったんです。そのせいで仕事をちゃんとこなしても、なかなか信頼を得られませんでした。

そこで、このままではいけないと思い、出社時間や会議には絶対に遅刻しないようにしました。風邪でも休まず遅刻しないということを1、2年続けると、今度は「あいつが来てないぞ。よっぽどのことがあるに違いない」と思われるようになりました。このとき私は、「絶対に遅刻をしない」という約束をし、それを実行したことで「あいつは絶対に遅刻をしない人間だ」という信頼を得たのです。

「希少価値」で自分の評価を高める
もう1つの「対極の筋力」とはどういうことですか?

小笹社長: 自分の得意なものと正反対の能力を鍛えると言うことです。私の場合、瞬発力はあったのですが、何かを継続してやっていくことが苦手でした。そこで、持久力を身に付けるために雑誌に連載を始めました。毎週毎週書き続けなければいけない連載は本当につらかったのですが、それをすることにより持久力が身に付きました。自分の得意なことだけでなく、その対極にある苦手なことも目標を立てて頑張る。もし、目標を達成できれば「やれば出来るじゃないか」と自信にもつながります。

世間では苦手なことを無理に頑張るより「強みを伸ばせ」とよく言われますよね。その点はどうですか?

小笹社長: 強みを伸ばしてそれを活かすことは、もちろん大切です。しかし、それだけでは市場価値は高められないと思います。というより、対極の筋力を身に付けている人が少ないので希少価値が上がり、おのずと評価もグーンと高くなるということです。

古典落語で話術を学ぶ
趣味はなんですか?

小笹社長: 最近はワインにこっています。3年前にワインバーを買い取る話があり、それでワインについて勉強して病み付きになりました。今はワインバー「リンクダイニング( http://www.lmi.ne.jp/ldi/)」を2店舗経営しています。

他にはどんなことを?

小笹社長: 古典落語をよく聞きます。特に古今亭志ん朝さんが好きです。私は落語を楽しみながら、話術のテクニックも学んでいます。みんながオチを知っていて毎回同じなのに、笑わせることができるのは本当にすごいことだと思います。

落語はどんなところで聞くのですか?

小笹社長: 移動中など時間を見つけて聞いています。歩くことを日課にしているので、歩きながら聞くことも多いですね。歩くとアイデアがわいてくるのです。多分血の流れがよくなって頭が活性化されるんだと思います。アイデアが煮詰まったときや新規事業を考える時などは歩くようにしています。気分転換にもとってもいいですよ。

“天才”から学年最下位に
小さいころはどんな子でしたか?

小笹社長: 図工以外はオール5の天才でしたよ(笑)。

そのまま順調な人生ということですか?

小笹社長: いやいや、そんなことはありません。高校のころ、552人同級生がいたのですが、成績は552番でした。ラグビー部だったのですが、そちらにもあまり参加していませんでしたね。

それで、早稲田大学の政経学部はすごいですね。

小笹社長: 2歳年下の弟もアウトローでして(笑)、「このままでは小笹家が危ない。俺だけでも頑張ろう」と大学に行く決心をしました。何とか入学することは出来ましたが、卒業まで5年もかかってしまいました(笑)。

編集を終えて
オフィスに入ったとたん、とっても暖かく懐かしい雰囲気の感じられる会社だった。小笹社長も同じ雰囲気を持つ方で、気さくにいろいろなことを話してくれた。多くの人が、「やりたい仕事に就きたい」「自分の仕事の成果を認めてほしい」と思いながら、それを実現できず悩んでいるが、小笹社長、そしてリンクアンドモチベーションという会社はそんな悩んでいる人たちにヒントを与えてくれる会社だと思う。今後も、色々な分野での活躍を期待したい。(インタビュアー:まぐまぐ 野田宜成)