その上で、ありのままであれ
みなさん、こんにちは!プロフェッショナル・コーチの吉野実岐子です。この連載も、いよいよ最終回です。これまで読んで下さったみなさんに、心からの感謝を込めて、最終稿を書き進めますね。
さて、前回まで「命はつながっている」という真実を否定せず、あなたの幸せやあなた自身を尊重し続け、役割を超えた命で、相手の命に関わり続けることが、あなたの市場価値を高めると、書いてきました。
つまり、「あなたがありのままであれば、あなたの市場価値はもっと高まる」と、お伝えしてきました。
一般に「ありのままである」と「市場価値を高める」は、全く別の領域のこと、相反する二軸のように、捉えられがちです。
確かに、「ありのまま」という言葉を隠れ蓑に、努力を怠って行動しない人や目的達成のために、自然なご自分は抑えて、見かけの市場価値を高めてきた人どちらも、みなさんの周りにいらっしゃるでしょう。
両者は、一見すると真逆で、何の共通点もない間柄に、見えるかもしれません。しかし真逆に見えるのは、相反する関係を成立させる軸があるからです。
その軸とは、「人生を、主体的にデザインして生きているか、否か」という軸です。主体的にデザインするとは、「自分の人生に責任を取って生きる」ことを指します。
厳しい言い方ですが、「ありのまま」を隠れ蓑にする人と、見かけの市場価値を高めてきた人は、「主体的に人生をデザインし切っていない」または「自分が、自分の人生のオーナーで主役だ」という自覚を、十分に持たないことから「自分の人生に責任を取る」というコミットメントが、薄くなっている人だといえます。
前々回、在り方(Being)と行動(Doing)に触れ、前回のラストで、周囲に与えるインパクト(Having)に触れましたが、上記の二者は、特に、Having への意識が薄い人だと、言い換えることもできます。Having への意識が薄いとは、自分のリーダーシップを認め切っていないことを、示唆します。
では、「ありのままである」と「市場価値を高める」を両立させるには、どうしたらいいか、その答えは「主体的に、自分の人生をデザインする」です。
欠けた所も余分もない、ありのままのあなたを、知って認めながら、あなたの市場価値を高めることを、考えて下さい。あるいは、Having への意識を高めて下さい。こうすると、人生は、より立体的に、その姿を現すようになります。
「ありのまま」は、現状維持を奨励せず、あなたを癒す言葉でもありません。人は、見なかったことにしたり、誰かのせいにする方が、ずっと楽なのです。
むしろ「ありのまま」を本気で実践しようとすると、そのラディカルさや創造性を試される感覚に、驚かれることと思います。
でも、「ありのまま」をあきらめない、そうしたリスクを取る行為は、あなたのオリジナリティーを明確にし、弱みや強みの磨き方をクリアにし、結果的にご自分を最大限生かす方法を、修得する道となります。また、この姿勢自体が大きな挑戦として、他者の眼に映るでしょう。
最期まであなたと一緒にいるのは、間違いなくあなたです。市場価値に留まらず、人間としての価値を高めるべく、ぜひありのままのご自分を生かす、人生を主体的にデザインして下さいね。たった一度の人生を、満喫しましょうね。
ありのままであるとは、ラディカルで創造的な挑戦。
主体的に人生をデザインし、真に市場価値の高い人を目指そう
コーチングはしばしば、成功・マネージメント・生産効率の最大化という文脈で語られます。しかし、成功/幸せ、リーダーシップ/マネージメント、短期的な生産効率のアップ/中長期的なビジョンの実現は、実際の人生の現場ではアンビバレントなものだと、捉えている方が多いでしょう。例えば「成功も幸せも目指したのに、成功したが幸せでない」と、ダブルバインドに苦しむ方がいらっしゃいます。こうしたことを踏まえ、この連載を書かせて頂きました。コーチングは、人が主体的に幸せになり、自らのリーダーシップを発揮し、中長期的なビジョンを実現することを、支援します。子供が憧れる美しい大人が増えますように。ありがとうございました。